学校環境衛生基準のCO₂・温湿度管理|定期検査と連続モニタリングの違い

教室では、児童生徒が在室すると呼気によって二酸化炭素濃度が上昇します。特に冬季や冷暖房使用時は窓を閉める時間が長くなり、換気不足に気付きにくいことがあります。

CO₂・温度・湿度を継続して測定すれば、授業開始後のCO₂上昇、休み時間の換気効果、冷暖房による温湿度変化などを可視化できます。

ただし、学校環境衛生基準に基づく「定期検査」と、IoTセンサーによる「連続モニタリング」は目的や位置付けが異なります。連続測定機器を設置しただけで、正式な定期検査を実施したことになるわけではありません。

本記事では、学校におけるCO₂・温湿度管理の基礎と、連続モニタリングを日常管理に活用する方法を解説します。

学校の教室でCO2濃度と温湿度を連続モニタリングするイメージ

教室のCO₂・温度・湿度をセンサーで継続的に確認するイメージ

要点

  • 換気の基準として、CO₂は1,500ppm以下が望ましい
  • 温度は18~28℃、相対湿度は30~80%が望ましい
  • CO₂・温度・相対湿度などは、原則として毎学年2回の定期検査対象
  • 定期検査と連続モニタリングは目的、方法、記録の扱いが異なる
  • 連続監視は、授業中の変動や換気効果を把握する補助手段として有効
  • センサーは窓、出入口、空調吹出口、直射日光、人の呼気の直近を避ける
  • 基準超過時の換気方法と担当者を事前に決める
  • 正式な検査方法や機器の適否は、学校薬剤師などと確認する

1.学校環境衛生基準におけるCO₂・温湿度の基準

学校環境衛生基準では、教室等の換気・保温に関して次の基準が示されています。

検査項目 基準
二酸化炭素 換気の基準として1,500ppm以下であることが望ましい
温度 18℃以上、28℃以下であることが望ましい
相対湿度 30%以上、80%以下であることが望ましい
学校環境衛生基準で確認するCO2濃度・温度・相対湿度

教室環境を評価するCO₂・温度・相対湿度の3項目

CO₂は、教室内の空気そのものの安全性を単独で判定する指標ではなく、主として在室者に対して換気が十分行われているかを判断する目安として使用されます。

文部科学省の資料では、冬季に窓を閉めた教室でCO₂濃度が2,000ppmを超える事例や、換気設備を使用して換気回数を確保することで1,500ppm以下に維持できた事例が紹介されています。文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」

2026年4月1日施行の改正では、揮発性有機化合物であるエチルベンゼンの基準値と測定方法が変更されましたが、上記のCO₂・温度・相対湿度の基準に変更はありません。文部科学省「学校環境衛生基準の一部改正について」

2.1,500ppmと1,000ppmはどう違うのか

学校環境衛生基準では、CO₂濃度は1,500ppm以下であることが望ましいとされています。

一方、換気や感染症対策に関する資料では、必要換気量を確保するための目安として「概ね1,000ppm以下」が示される場合があります。

この2つは、同じ位置付けの数値ではありません。

  • 1,500ppm:学校環境衛生基準における換気の基準
  • 1,000ppm:より積極的な換気管理などで用いられることがある目安

学校独自の管理値を1,000ppmに設定することは考えられますが、「学校環境衛生基準が1,000ppmに変更された」と説明するのは適切ではありません。

運用上の注意値やアラート値は、学校の構造、換気設備、児童生徒数、季節、自治体の方針などを踏まえ、学校薬剤師や設置者と相談して決めます。

3.定期検査と連続モニタリングの違い

学校環境衛生基準では、CO₂、温度、相対湿度などについて、毎学年2回の定期検査を行うことが定められています。

一方、連続モニタリングは、センサーを教室に常設し、数分ごとなど一定間隔で測定する管理方法です。

比較項目 定期検査 連続モニタリング
主な目的 学校環境衛生基準への適合状況を確認 日常の変動と換気状態を把握
実施時期 基準に定められた頻度 授業日を通じて継続
測定方法 基準に定める方法または同等以上の方法 設置したセンサーで自動測定
測定場所 授業中等に各階1以上の教室を選定し、机上の高さで測定 管理対象となる教室へ常設
主な結果 定期検査記録、事後措置 グラフ、履歴、アラート
主な利用者 学校、学校薬剤師、設置者 教職員、施設管理者、教育委員会
位置付け 基準に基づく正式な検査 日常管理を補助する仕組み
学校の定期環境衛生検査とCO2連続モニタリングの違い

学校薬剤師等が関与する定期検査と、日常の変化を把握する連続モニタリング

学校環境衛生基準では、CO₂について検知管法、またはそれと同等以上の方法による測定が示されています。

NDIR方式などの連続CO₂センサーを正式な検査に使用できるかは、測定範囲、精度、校正状態、使用方法を含めて判断する必要があります。学校側だけで決めず、学校薬剤師や設置者に確認してください。文部科学省「学校環境衛生基準」

4.連続モニタリングで分かること

定期検査は特定の日時における環境を適切に評価できますが、その測定だけでは一日を通した変化を把握できない場合があります。

連続測定を行うと、例えば次の傾向を確認できます。

  • 授業開始から何分後にCO₂が上昇するか
  • 休み時間の窓開けでどの程度低下するか
  • 児童生徒数によって上昇速度が変わるか
  • 雨天・夏季・冬季に換気状況が変化するか
  • 冷暖房使用時に換気が不足していないか
  • 朝と午後で温湿度がどのように変わるか
  • 特定の教室だけ高い値が続いていないか

測定履歴を確認することで、「常に窓を全開にする」といった一律の対応ではなく、教室ごとの特性に合わせて換気方法を検討しやすくなります。

ただし、CO₂センサーは換気状況を把握する補助指標です。感染症の有無、臭気、VOC、浮遊粉じん、カビなどをCO₂濃度だけで判断することはできません。

5.センサーの設置位置

センサーの設置位置が不適切だと、教室を代表しない値が表示されることがあります。

連続モニタリング用センサーは、児童生徒が通常過ごす区域の空気環境を測定できる位置へ設置します。

避けたい場所は次のとおりです。

  • 開いている窓や出入口の直近
  • 給気口・空調吹出口の直下
  • 換気扇のすぐ近く
  • 直射日光が当たる場所
  • 暖房器具の近く
  • 教員や児童生徒の顔のすぐ近く
  • 天井付近や床面付近
  • カーテン、棚、掲示物などで覆われる場所
教室用CO2センサーの適切な設置位置と避ける場所

教室を代表する測定位置と、窓・空調・呼気付近など避けたい設置場所

人の呼気が直接当たる場所では、一時的に非常に高いCO₂値が表示される可能性があります。反対に、窓や給気口の直近では外気の影響を受け、教室全体より低く表示される場合があります。

定期検査では、授業中等に各階1以上の教室を選び、適当な場所1か所以上の机上の高さで測定することが示されています。常設センサーについても、この考え方を参考にしながら、いたずら、落下、ケーブル損傷などへの安全対策を行います。

6.CO₂が上昇したときの対応を決める

アラートを設定するだけでは、換気管理は改善されません。通知を受けた後の対応をあらかじめ決めておくことが重要です。

基本的な対応例は次のとおりです。

  1. センサー値が継続して上昇しているか確認する
  2. 窓、欄間、出入口または換気設備の状態を確認する
  3. 可能な範囲で2方向の開口部を利用して換気する
  4. 換気扇や機械換気設備が運転しているか確認する
  5. 換気後のCO₂低下を確認する
  6. 改善しない場合は、設備故障や換気能力を調査する
  7. 必要に応じて学校薬剤師や設置者へ相談する

空気清浄機は、浮遊粒子対策には利用できますが、通常はCO₂を外部へ排出するものではありません。CO₂濃度を下げるには、原則として外気との換気が必要です。

屋外の暑さ、寒さ、騒音、花粉、雨などにより窓開けが難しい場合は、機械換気設備の運転方法や換気能力を確認します。

7.温度・湿度も同時に確認する

換気を強化すると、夏季は室温上昇、冬季は室温低下や乾燥につながる場合があります。

そのため、CO₂だけでなく温度と相対湿度を同じ時間軸で確認することが重要です。

例えば、冬季にCO₂を下げるため窓を大きく開け続けると、教室温度が低下する可能性があります。短時間の集中換気、欄間の利用、機械換気、暖房との組み合わせなど、教室条件に合わせた方法を検討します。

相対湿度が30%を下回る場合も、単純に加湿量を増やせばよいとは限りません。過度な加湿は窓や壁の結露、カビ、加湿器の衛生管理といった別の問題を生じさせる可能性があります。

8.学校向けCO₂センサーの選び方

学校で使用するCO₂センサーは、価格だけでなく次の項目を確認します。

  • CO₂を直接測定するNDIR方式などを採用しているか
  • 1,500ppm付近を十分な精度で測定できるか
  • 温度・湿度も同時に確認できるか
  • 測定間隔とデータ送信間隔を設定できるか
  • 履歴をグラフやCSVで確認できるか
  • 複数教室を一元管理できるか
  • 高値、オフライン、電池残量低下を通知できるか
  • 通信停止中のデータを本体に保存できるか
  • 校正または基準計器との比較ができるか
  • 電源、配線、転倒、いたずらへの対策が可能か

一般室内向けCO₂センサーには、一定期間の最低濃度を外気相当とみなして自動補正する製品があります。常時換気が不十分な教室では、この前提が成立しない場合があるため、自動補正の条件や停止可否も確認してください。

9.UbiBotを学校の環境管理へ活用する方法

UbiBotでは、外部CO₂センサーと対応する本体を組み合わせ、CO₂・温度・湿度などをクラウド上で確認できる構成を選択できます。

外部CO₂センサーのP3モデルは、400~2,000ppmを主な測定範囲とし、公開仕様では精度が±(40ppm+読み値の3%)です。学校環境衛生基準の1,500ppm付近を含む一般室内のCO₂監視に適した測定範囲です。UbiBot外部CO₂センサー公式製品情報

対応するGS1シリーズでは、モデルにより次のような構成を選べます。

複数教室のCO2温湿度をクラウドで遠隔監視するシステム構成

複数教室のCO₂・温湿度をクラウドで一元管理し、異常時に通知する構成例

  • Wi-Fiによるクラウド接続
  • 4G通信対応モデル
  • 有線LAN対応モデル
  • RS485外部CO₂センサー接続
  • 最大30万件の内部記録
  • Web・アプリによる遠隔確認
  • アラートと複数端末でのデータ閲覧

多数の教室へ展開する場合は、LoRa対応CO₂センサーとゲートウェイによって測定点を集約する構成も検討できます。LoRaモデルには本体内記録と、通信復旧後のデータ再送信機能があります。UbiBot LoRa CO₂センサー公式製品情報

ただし、接続できるセンサー、通信方式、電源、技術基準適合、クラウドプランはモデルによって異なります。購入前に構成と国内での利用条件を確認してください。

また、UbiBotによる連続監視は、授業中の変化、換気効果、複数教室の比較に利用するための仕組みです。学校環境衛生基準に基づく定期検査を自動的に代替するものではありません。

10.導入規模別の構成例

導入規模 構成例 主な確認事項
試験導入 普通教室1~2室にCO₂・温湿度センサー 設置位置、換気後の変化、通知頻度
小規模校 各階の代表教室、保健室、特別教室 Wi-Fi環境、機器名、担当者
中・大規模校 教室ごとのセンサーと一元管理画面 多台数管理、電源、校正、データ保存
複数校管理 学校・校舎・階・教室別のグループ管理 権限、通信障害、運用ルール、API連携

最初から全教室へ一斉導入するのではなく、夏季・冬季を含む試験運用を行い、測定間隔、アラート値、設置位置、換気手順を確認してから展開すると管理しやすくなります。

よくある質問

教室のCO₂基準は1,000ppmですか、1,500ppmですか

学校環境衛生基準では、換気の基準として1,500ppm以下が望ましいとされています。1,000ppmは、より積極的な換気管理などで使われることがある目安であり、学校環境衛生基準そのものの数値とは区別してください。

CO₂センサーを設置すれば定期検査は不要ですか

不要にはなりません。連続モニタリングは日常管理を支援しますが、定期検査は学校環境衛生基準に定める方法または同等以上の方法で実施します。機器の扱いは学校薬剤師などと確認してください。

すべての教室にセンサーが必要ですか

一律には決められません。校舎構造、換気設備、児童生徒数、教室用途、予算を考慮します。まず各階の代表教室や換気に課題がある教室から導入する方法もあります。

CO₂センサーはどこに置けばよいですか

児童生徒が通常過ごす区域を代表する位置に設置します。窓、扉、空調吹出口、直射日光、暖房器具、人の顔の直近は避けてください。

空気清浄機でCO₂濃度を下げられますか

一般的な空気清浄機ではCO₂を十分に除去できません。CO₂濃度を下げるには、窓開けや機械換気によって外気を取り入れる必要があります。

センサーの値が急に高くなる原因は何ですか

人数の増加、窓や扉の閉鎖、換気設備の停止、人の呼気が直接当たる設置位置などが考えられます。別の計器との比較や、換気後の変化も確認してください。

まとめ

学校環境衛生基準では、CO₂は1,500ppm以下、温度は18~28℃、相対湿度は30~80%であることが望ましいとされています。

定期検査は基準への適合状況を正式に確認するものであり、連続モニタリングは授業中の変化や換気効果を把握するための補助的な管理方法です。両者を競合するものではなく、組み合わせて活用することが重要です。

UbiBotのCO₂センサー、対応するGS1シリーズ、LoRaセンサーを利用すれば、教室ごとのCO₂・温湿度履歴をクラウドで確認し、設定値を超えた場合に担当者へ通知する構成を検討できます。

導入時は、センサーの性能だけでなく、設置位置、校正、通信、電源、アラート後の換気手順まで決めてください。正式な定期検査との関係については、学校薬剤師および学校設置者と確認することが大切です。

参考資料

  1. 文部科学省「学校環境衛生」
  2. 文部科学省「学校環境衛生基準(令和8年文部科学省告示第35号)溶け込み版」
  3. 文部科学省「学校環境衛生基準の一部改正について」
  4. 文部科学省「学校環境衛生管理マニュアル」
  5. 文部科学省「学校施設の換気設備に関する調査研究報告書」
  6. UbiBot外部CO₂センサー公式製品情報
  7. UbiBot GS1シリーズ公式製品情報
  8. UbiBot LoRa CO₂センサー公式製品情報

※学校環境衛生基準、自治体の方針、製品仕様およびクラウド機能は変更される場合があります。公開または導入前に最新資料をご確認ください。

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