温室やビニールハウスでは、同じ施設内でも作物の高さ、日射、換気窓、暖房機、循環扇、カーテン、CO₂施用口などの影響により、温度・湿度・CO₂濃度が場所ごとに異なります。
そのため、環境モニタリングを導入する際は、単に高精度なセンサーを購入するだけでは不十分です。「どの作物、どの高さ、どの環境制御区画を代表する値なのか」を明確にし、測定、通信、記録、アラート、現場対応までを一つのシステムとして設計する必要があります。
本記事では、温湿度・CO₂センサーの選び方、設置場所、必要台数、LoRaなどの通信方式、データ管理、試運転、保守に加え、日本市場で導入できる製品の違いを解説します。
温室向け温湿度・CO₂センサーは、測定目的と必要な仕様を整理して選定します。
要点
温室用センサーを選ぶ際は、次の点を確認します。
- 「表示分解能」と「測定精度」を混同しない
- 精度が保証される温度・湿度範囲を確認する
- 高湿度域で使用する場合は、結露後の復帰特性も確認する
- 飽差を利用する場合は、温度と湿度を同じ条件で測定する
- CO₂は推定値ではなく、NDIRなどで直接測定する製品を選ぶ
- CO₂センサーの精度は「±ppm」と「読み値に対する割合」の両方を見る
- 自動補正機能が温室のCO₂施用条件に適しているか確認する
- 電池寿命は測定間隔、通信頻度、周囲温度によって変化する
- 本体と感知部の保護性能を分けて確認する
- 校正、センサー交換、データ出力まで含めて比較する
日本施設園芸協会の資料でも、精度だけでなく、高温、多湿、塵埃、結露などへの耐性、データ保存、応答性、保守性がセンサー選定上の重要事項として示されています。日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」
1.最初に「何を判断するための測定か」を決める
必要なセンサー性能は、データの用途によって異なります。
| 測定目的 | 重視する性能 | 選定時の注意 |
|---|---|---|
| 日常的な環境確認 | 安定性、見やすさ、記録機能 | 必要以上の精度より、継続記録と保守性を重視 |
| 高温・低温の異常検知 | 測定範囲、応答性、警報機能 | 通常時だけでなく設備停止時の温度も想定 |
| 飽差の確認 | 温度・湿度精度、同時測定 | 温湿度の誤差が計算結果に影響する |
| CO₂施用の評価 | CO₂精度、応答性、校正 | 施用濃度をカバーする測定範囲が必要 |
| 複数棟の比較 | センサー間差、時刻同期 | 個体差や校正状態が比較結果に影響 |
| 研究・実証試験 | 精度、再現性、データ出力 | 校正証明や生データ出力が必要な場合がある |
| 環境制御との連携 | 応答性、通信仕様、API | 監視用か制御用かを明確にする |
| 品質管理・説明資料 | 欠測対策、履歴、監査性 | 校正履歴や変更履歴を残せるか確認 |
単に現在値を確認するだけであれば、極端に高価な研究用計器が必要とは限りません。一方、複数のハウスを比較したり、測定値を環境制御へ利用したりする場合は、精度、再現性、データ出力、保守体制が重要になります。
2.仕様表で混同しやすい用語
測定範囲、精度、表示分解能、応答時間、ドリフトは、それぞれ異なる性能指標です。
測定範囲
センサーが測定できる最低値から最高値までの範囲です。
測定範囲内であっても、全域で同じ精度が保証されるとは限りません。「測定可能範囲」と「精度保証範囲」を分けて確認してください。
精度
測定値が基準値にどの程度近いかを示します。
例えば温度精度が±0.3℃の場合、基準温度が25.0℃であっても、仕様上は24.7~25.3℃の範囲を示す可能性があります。
表示分解能
表示または保存できる値の最小単位です。
0.01℃単位で表示されても、精度が±0.3℃であれば、真の温度を0.01℃の精度で測定できるわけではありません。桁数の多さと測定精度は別の仕様です。
再現性
同じ条件で繰り返し測定した際に、近い値が得られる性質です。
環境改善前後を比較する場合や、複数台のセンサーを並べて使用する場合は、絶対精度だけでなく再現性も重要です。
応答時間
環境が変化してから、センサーの表示がその変化へ追従するまでの時間です。
感知部の構造、保護フィルター、ケース内の通風、測定方式などによって変わります。急激な温度変化を検知したい用途では、精度だけでなく応答性も確認します。
長期安定性とドリフト
使用時間の経過に伴って、測定値が基準値から徐々にずれる現象をドリフトと呼びます。
特に湿度・CO₂センサーは、汚れ、薬剤、結露、経年変化などの影響を受ける可能性があります。長期運用では、初期精度だけでなく、校正や交換ができることが重要です。
3.温度センサーの種類と選び方
温度センサーは、測定対象と必要な安定性・応答性に応じて方式を選びます。
温室で使用される温度センサーには、半導体センサー、サーミスタ、白金測温抵抗体、熱電対、放射温度計などがあります。
半導体温度センサー
温湿度一体型センサーや小型IoT機器で広く使用されています。
特徴は次のとおりです。
- 小型化しやすい
- デジタル出力に対応しやすい
- 温湿度を一体で測定できる製品が多い
- 比較的低消費電力
- 個体差や長期ドリフトを確認する必要がある
日常的なハウス環境監視や多点測定に適した方式です。
サーミスタ
温度によって電気抵抗が変化する素子です。
- 小型で応答性が良い
- 比較的低価格
- 特定の温度範囲で高い感度を得やすい
- 温度範囲によっては非直線性の補正が必要
外部温度プローブや一般的なデータロガーで広く使用されています。
白金測温抵抗体
Pt100やPt1000などが代表的です。
- 安定性と再現性に優れる
- 広い温度範囲に対応しやすい
- 互換性を確保しやすい
- センサーと計測器の構成が比較的高価になる場合がある
研究、設備評価、基準計器との比較など、安定した温度測定を重視する用途に適しています。
熱電対
異なる金属の接点で発生する熱起電力を利用します。
- 広い温度範囲を測定できる
- 細い素線では応答が速い
- 出力が小さく、計測回路や冷接点補償が必要
- 温室の一般的な気温監視には性能が過剰な場合がある
暖房配管、培地、機械設備など、空気温度以外の測定で利用されることがあります。
放射温度計
対象物から放射される赤外線を測定し、非接触で表面温度を求めます。
葉面温度の測定に利用できますが、空気温度を測定するセンサーではありません。測定視野、対象物の放射率、背景の影響を考慮する必要があります。
日本施設園芸協会の資料では、白金測温抵抗体、半導体、熱電対、放射温度計について、それぞれの原理と特徴が整理されています。日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」
4.温度センサーで確認する仕様
温室用温度センサーを選ぶ際は、次の項目を確認します。
- 温度測定範囲
- 精度保証範囲
- 代表精度と最大許容誤差
- 表示分解能
- 応答時間
- 長期ドリフト
- 外部プローブの有無
- プローブ材質
- ケーブル長
- 校正可否
- センサー交換可否
- データ記録間隔
- 使用可能な周囲温度
通常の栽培温度だけでなく、暖房や換気が停止した場合に発生し得る温度も考慮します。
また、本体の動作温度範囲と外部プローブの測定範囲は同じとは限りません。低温庫や高温設備を測定する場合は、プローブが対応していても、ロガー本体を同じ環境に置けないことがあります。
5.湿度センサーの種類と選び方
温室向け電子式温湿度計では、静電容量式湿度センサーが広く採用されています。
静電容量式
湿度によって感湿材料の静電容量が変化する性質を利用します。
- 小型化しやすい
- 消費電力が比較的小さい
- デジタル機器へ組み込みやすい
- 比較的広い湿度範囲に対応できる
- 結露、汚れ、薬剤成分の影響を確認する必要がある
電気抵抗式
湿度によって感湿材料の電気抵抗が変化する性質を利用します。
- 回路を比較的簡単に構成できる
- 温度依存性がある
- 高湿度や長期使用による変化に注意が必要
乾湿球式・露点計
乾湿球式は乾球温度と湿球温度の差から湿度を求めます。露点計は空気中の水蒸気が凝結し始める温度を測定します。
基準確認や専門的な計測に利用されますが、水や通風装置、冷却機構、定期的な保守が必要になる場合があります。
6.湿度センサーは高湿度域の仕様を見る
0~100%RHの測定範囲は、継続的な結露への耐性を意味するものではありません。
相対湿度の仕様は「±2%RH」などと表示されますが、その精度が全測定範囲で保証されるとは限りません。
例えば、10~90%RHでは±2%RHでも、90%RHを超える範囲では精度が低下する製品があります。夜間に高湿度となるハウスでは、通常域だけでなく高湿度域の仕様を確認します。
選定時の確認項目は次のとおりです。
- 湿度測定範囲
- 精度保証範囲
- 90%RH以上での精度
- 使用可能温度範囲
- 結露可否
- 結露後の復帰時間
- ヒーター機能の有無
- 保護フィルターの有無
- フィルター交換の可否
- 薬剤や粉じんへの耐性
- 長期ドリフト
- 校正方法
「0~100%RH対応」と記載されていても、継続的な結露状態で精度が保証されるという意味ではありません。
センサー表面に水膜が形成されると、測定値が100%RH付近に張り付いたり、結露解消後もしばらく高い値を示したりする可能性があります。
7.飽差を利用する場合のセンサー選定
飽差は気温と相対湿度から計算し、葉温を基準とする評価とは区別します。
飽差は、空気がさらに保持できる水蒸気量の余裕を表す指標です。一般には温度と相対湿度から計算します。
同じ相対湿度でも、温度が異なれば飽差は変化します。そのため、飽差管理を行う場合は、温度と湿度を同じ空気条件で測定することが重要です。
センサー選定では、次の点を確認します。
- 温度と湿度を同時に測定できるか
- 温度センサーと湿度センサーの応答差
- 飽差の計算式
- 飽和水蒸気圧の計算条件
- 測定値と計算値の保存可否
- 葉温を基準とする飽差との違い
一般的な温湿度センサーから計算される飽差は、通常、気温を基準とした値です。葉温が気温と異なる場合、植物が実際に受ける水分環境と一致しない可能性があります。
より詳細な栽培評価では、葉面温度や日射量などを併用する方法も検討します。
農研機構の施設園芸研究でも、相対湿度、飽差、換気、炭酸ガス施用などを組み合わせた環境管理が検討されています。農研機構「施設園芸における高収益栽培体系を実現するための技術開発」
8.CO₂センサーはNDIR方式を基本に検討する
温室でCO₂濃度を連続測定する場合、NDIR方式のセンサーが一般的です。
NDIRはNon-Dispersive Infraredの略で、CO₂が特定波長の赤外線を吸収する性質を利用して濃度を測定します。
NDIR方式は、CO₂による特定波長の赤外線吸収を利用して濃度を算出します。
NDIR方式の特徴
- CO₂濃度を直接測定できる
- 連続監視に適している
- 比較的選択性が高い
- 光源や受光部の経年変化を受ける可能性がある
- 温度、気圧、汚れの影響を補正する製品がある
- 定期的な基準確認や校正が必要になる場合がある
施設園芸向けの連続監視では、「eCO₂」などVOCからCO₂濃度を推定する製品ではなく、CO₂を直接測定する方式を選ぶことが基本です。
推定式のCO₂値は、人が滞在する室内の換気目安には利用できても、CO₂施用量の評価や栽培試験には適さない可能性があります。
9.CO₂センサーの測定範囲を選ぶ
CO₂センサーには、2,000ppm程度までを主対象とする製品と、10,000ppm以上に対応する製品があります。
測定範囲が広いほど、必ず高性能になるわけではありません。必要以上に広い量程を選ぶと、実際に使用する低濃度域で必要な分解能や精度を得られない場合があります。
選定時には、次の条件を整理します。
- 外気に近い濃度の変化を確認したい
- CO₂施用中の濃度を管理したい
- 燃焼式暖房機の影響も確認したい
- 高濃度になる可能性がある
- 作業環境の安全確認にも使用したい
- 研究用途で広い濃度域を測定したい
通常の栽培管理と、作業者の安全管理では必要な製品仕様や認証、警報機能が異なります。農業用環境モニターを、そのまま人命安全用のガス警報器として使用しないでください。
10.CO₂精度の読み方
CO₂センサーの精度は、次のように示されることがあります。
±(30ppm+読み値の3%)
仮に測定値が1,000ppmの場合、読み値の3%は30ppmです。この例では、合計で±60ppm相当の誤差範囲になります。
そのため、製品比較では固定値の「±ppm」だけでなく、読み値に比例する誤差も確認します。
そのほか、次の項目を比較します。
- 測定範囲
- 精度保証範囲
- 表示分解能
- 応答時間
- ウォームアップ時間
- 温度補正
- 気圧補正
- 長期ドリフト
- サンプリング方式
- 校正方法
- 消費電力
- 出力インターフェース
標高が高い地域や気圧変化の影響を重視する用途では、気圧補正の有無も確認します。
11.CO₂センサーの自動補正機能に注意する
一部のNDIR式CO₂センサーには、自動ベースライン補正機能が搭載されています。
この機能は、一定期間内の最低濃度が外気に近い値になることを前提として、センサーの基準値を自動的に補正する方式です。
人が使用する一般室内では有効な場合がありますが、次のような温室では前提が成立しない可能性があります。
- CO₂施用を毎日長時間行う
- 換気時間が短い
- 夜間も高いCO₂濃度が続く
- 外気相当の濃度まで下がる時間がない
- 植物や燃焼機器による濃度変化が大きい
自動補正を使用する場合は、補正条件、停止可否、手動校正方法を確認します。仕様が不明な場合は、メーカーへ温室での使用条件を伝えたうえで確認してください。
12.校正と精度確認の違い
精度確認、校正、調整は目的が異なるため、メーカーの用語と作業範囲を確認します。
精度確認
基準となる計器や既知の条件と比較し、許容範囲内にあるかを確認する作業です。
校正
標準器または標準ガスと比較し、測定器の示す値と基準値の関係を明らかにする作業です。
校正を行っても、必ずしも機器内部の表示が自動的に調整されるわけではありません。校正結果に基づいて補正値を適用する場合もあります。
調整
機器の表示が基準値へ近づくように、ゼロ点や感度を変更する作業です。
購入前には、メーカーが「校正」「調整」「精度確認」という用語をどの意味で使用しているか確認してください。
日本施設園芸協会の資料では、温度、相対湿度、CO₂などについて、基準計器や標準ガスを利用した定期的な校正の重要性が説明されています。CO₂測定では複数濃度の標準ガスによる確認例も示されています。日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」
13.一体型と外部プローブ型の違い
本体一体型、外部プローブ型、リモート送信器型は、測定対象と保守方法に応じて選びます。
本体一体型
本体内部または本体表面に感知部を備えた製品です。
メリット:
- 構成が簡単
- ケーブルが少ない
- 小型化しやすい
- 導入作業が比較的容易
注意点:
- 本体の発熱が測定へ影響する可能性がある
- 感知部だけを交換できない製品がある
- 本体と測定場所を分離できない
- 水滴や薬剤から本体全体を保護する必要がある
外部プローブ型
本体からケーブルで感知部を分離する方式です。
メリット:
- 感知部だけを測定対象へ配置できる
- 本体を比較的安定した環境へ置ける
- プローブ交換に対応する製品がある
- 防水温度プローブなど用途別に選べる
注意点:
- ケーブル損傷やコネクターの接触不良
- 延長による応答や信号への影響
- プローブと本体の互換性
- 本体とプローブで異なる保護性能
- 交換後の精度確認
リモート送信器型
測定部とクラウド接続部を分け、無線または有線でデータを送信する方式です。
多数の測定点を管理しやすい一方、センサー単体では使用できず、受信機、ゲートウェイ、クラウド契約などが必要になる場合があります。
14.電池式と外部電源式の選び方
電池式
- 配線しにくい場所へ導入しやすい
- 停電時にも測定を継続できる場合がある
- 測定間隔や通信頻度によって寿命が変わる
- 低温環境では電池性能が低下する場合がある
- 定期的な交換作業が必要
外部電源式
- 短い測定間隔や常時動作に向く
- CO₂センサーなど消費電力の大きい機器に適する
- 電池交換の負担を抑えられる
- 停電対策が別途必要
- 電源ケーブルと安全な配線経路が必要
CO₂センサーは赤外線光源や測定回路を使用するため、温湿度センサーより消費電力が大きい傾向があります。製品によっては、電池がバックアップ用途で、通常運転にはACアダプターが必要です。
電池寿命を比較する際は、メーカーが想定する次の条件も確認してください。
- 測定間隔
- データ送信間隔
- 周囲温度
- 無線通信状態
- 表示器の使用
- 外部センサーの接続
- 使用する電池の種類
15.データ記録と出力方式を確認する
センサー単体の仕様が良くても、必要な形でデータを取り出せなければ運用に適しません。
確認項目は次のとおりです。
- 本体内部の記録容量
- 記録間隔
- 上書き方式
- CSV出力
- グラフ表示
- API
- Modbus RTU/TCP
- アナログ出力
- 接点出力
- クラウド保存期間
- ユーザー権限
- タイムゾーン
- 時刻同期
- データ所有権
- 契約終了後のデータ出力
研究や品質管理で使用する場合は、グラフ画像だけでなく、測定時刻を含む元データを出力できるか確認します。
環境制御盤と連携する場合は、通信プロトコルだけでなく、レジスター仕様、更新周期、通信異常時の値の扱いも確認してください。
16.日本市場で選べる温湿度・CO₂センサーの比較
以下は、製品の優劣を決めるランキングではありません。製品体系と用途が異なるため、必要な測定項目、電源、校正、データ管理方法に基づいて比較してください。
| 比較項目 | UbiBot DC1-L-TH/外部CO₂センサー | T&D RTR507B/RTR-576 | みどりモニタ/みどりボックスPRO |
|---|---|---|---|
| 製品の位置付け | IoT・クラウド連携を前提としたセンサー体系 | 国内ワイヤレスデータロガー体系 | 施設園芸向け環境モニタリング体系 |
| 温湿度の選択 | DC1-L-THなど | RTR507Bなど | 温湿度・飽差センサー |
| CO₂の選択 | P1・P3などの外部CO₂センサー | RTR-576など | 構成に応じてCO₂センサーを追加 |
| 温湿度とCO₂の構成 | 用途に応じて個別センサーを組み合わせる | RTR-576はCO₂・温度・湿度を一台で記録 | 温室向け複数項目をシステムとして構成 |
| 主なデータ利用 | Web、アプリ、API、対応機器への外部出力 | 親機、ソフトウェア、Web Storageなど | 専用アプリ、PC、スマートフォン |
| 外部連携 | API、SDK、モデルによりRS485など | RTR500Bシリーズの親機と組み合わせる | 温室環境制御や各種センサーとの連携 |
| 電源上の特徴 | 温湿度は電池運用可能な構成あり。CO₂は外部電源を確認 | 機種により電池またはACアダプター | 本体・センサー構成ごとに確認 |
| 選択肢が生きる用途 | 多点化、クラウド共有、API連携を重視 | 国内ロガー体系、校正、機種選択を重視 | 温室専用の多項目計測をまとめて導入 |
| 購入前の確認事項 | センサーと接続機器の互換性、インターフェース | 親機の要否、センサー部の防水性、電源 | 契約プラン、センサー構成、制御連携範囲 |
UbiBot
UbiBot DC1-L-THは、温度・相対湿度を測定するLoRa対応センサーです。日本公式製品情報では、温度測定範囲-20~60℃、代表温度精度±0.2℃、代表湿度精度±2%RH、最大50,000件の内部記録に対応すると案内されています。UbiBot DC1-L-TH公式製品情報
UbiBotの外部CO₂センサーには、用途と測定範囲が異なるP1・P3モデルがあります。日本公式ページでは、P1は400~10,000ppmを主な測定範囲とし、温湿度測定にも対応します。P3は400~2,000ppmを主な測定範囲とするCO₂専用モデルです。UbiBot外部CO₂センサー公式製品情報
UbiBotを選ぶ場合は、CO₂センサーのモデルだけでなく、接続する本体、Audio PlugまたはRS485などのインターフェース、電源、クラウドへのデータ送信方法を確認します。
T&D
T&D RTR507Bは、温度・湿度を記録するワイヤレスデータロガーです。高精度・広範囲の温湿度測定を行い、RTR500Bシリーズの親機と組み合わせてデータを収集します。T&D RTR507B公式製品情報
RTR-576は、CO₂・温度・湿度を同時に測定するワイヤレスデータロガーです。公式仕様ではCO₂測定範囲0~9,999ppm、記録容量8,000件×3チャンネルと案内されています。連続運用ではACアダプターを基本に電源条件を検討します。T&D RTR-576公式製品情報
T&D製品を選ぶ場合は、測定器本体だけでなく、必要な親機、クラウド、校正サービス、温湿度センサー部の防水性を含めて構成します。
みどりモニタ
みどりモニタは、日本の施設園芸向けに設計された環境モニタリングシステムです。
温湿度・飽差を基本として、CO₂、日射量、土壌水分、地温、EC、カメラなどを組み合わせられます。単体ロガーの選定というより、温室向けの複数項目を一つのサービスとして管理したい場合に検討しやすい構成です。みどりモニタ公式製品情報/みどりクラウド本体・センサー仕様書
17.用途別の選び方
| 導入目的 | 適した構成の考え方 |
|---|---|
| まず温湿度を記録したい | 温湿度一体型ロガー。内部記録とCSV出力を確認 |
| 飽差を確認したい | 精度の明確な温湿度一体型。飽差計算・表示機能を確認 |
| CO₂施用を評価したい | NDIR式CO₂センサー。測定範囲、校正、応答性を重視 |
| 温湿度とCO₂を同じ機器で測りたい | 三項目一体型。消費電力と感知部交換の可否を確認 |
| 多数のハウスへ展開したい | センサー追加、クラウド管理、権限、APIを重視 |
| 既存制御盤へ接続したい | RS485、Modbus、アナログ出力などを確認 |
| 研究データとして利用したい | 精度、校正証明、生データ、時刻同期を重視 |
| 高湿度が長時間続く | 高湿度域の精度、結露耐性、復帰特性を重視 |
| 培地や養液温度も測りたい | 外部防水プローブ対応のロガーを検討 |
| 将来、日射や土壌水分も追加したい | 同一プラットフォームの拡張性を重視 |
18.購入前チェックリスト
温度
- 必要な温度範囲を測定できる
- 精度保証範囲が明記されている
- 表示分解能と精度を区別して確認した
- 必要な応答時間を満たしている
- 外部プローブの材質と長さが適している
湿度
- 高湿度域の精度が確認できる
- 結露可否と復帰条件を確認した
- 保護フィルターを交換できる
- 薬剤や粉じんへの対策を検討した
- 校正またはセンサー交換ができる
CO₂
- CO₂を直接測定する方式である
- 必要な濃度範囲をカバーしている
- 「±ppm+読み値割合」の精度を確認した
- ウォームアップ時間を確認した
- 自動補正の条件と停止可否を確認した
- 校正方法と校正周期を確認した
- 必要な電源を確保できる
データと運用
- 記録容量と保存期間が十分である
- CSVまたはAPIでデータを出力できる
- 必要な本体・親機・ゲートウェイを確認した
- センサーと接続機器に互換性がある
- クラウド料金と契約終了時のデータ出力を確認した
- 国内での修理、校正、交換体制を確認した
よくある質問
温湿度センサーは精度が高い製品ほどよいですか
必ずしもそうとは限りません。必要な精度を満たしたうえで、高湿度への耐性、応答性、記録機能、校正、交換部品、保守費用を含めて選ぶことが重要です。
0.01℃表示なら、0.01℃の精度で測定できますか
できるとは限りません。0.01℃は表示分解能であり、測定精度が±0.3℃であれば、測定値には仕様上その範囲の誤差が含まれる可能性があります。
湿度100%RH対応なら結露しても使用できますか
測定範囲が100%RHまであることと、結露状態で継続使用できることは別です。結露可否、復帰時間、保護フィルター、メーカーの使用条件を確認してください。
飽差は専用センサーで測定しますか
一般的には温度と相対湿度から計算します。そのため、温湿度センサーの精度と、両項目を同じ条件で測定できることが重要です。
CO₂センサーはどの測定方式を選べばよいですか
温室で連続的にCO₂濃度を管理する場合は、NDIR方式を基本に検討します。VOCなどから算出した推定CO₂値ではなく、CO₂を直接測定する製品か確認してください。
CO₂センサーの自動校正機能は使用できますか
温室内のCO₂濃度が定期的に外気相当まで下がる場合は利用できる可能性があります。CO₂施用を継続する施設では前提が成立しないことがあるため、補正条件と停止可否を確認してください。
CO₂センサーを電池だけで運用できますか
製品によって異なります。CO₂センサーは温湿度センサーより消費電力が大きい傾向があり、ACまたはDC電源を必要とする場合があります。電池がバックアップ専用の場合もあります。
一体型と外部プローブ型はどちらが適していますか
構成を簡単にしたい場合は一体型、本体と測定対象を分離したい場合やプローブ交換を重視する場合は外部プローブ型が適しています。感知部、本体、ケーブルそれぞれの使用環境を確認してください。
センサーの校正はどのくらいの頻度で必要ですか
要求精度、メーカー推奨、使用環境、過去のドリフトによって異なります。高湿度、結露、農薬、粉じんの影響を受ける場合や、重要な制御判断に使用する場合は、より慎重な精度管理が必要です。
まとめ
温室・ビニールハウス向けセンサーの選定では、カタログ上の代表精度だけを比べるのではなく、測定目的、精度保証範囲、高湿度特性、応答性、ドリフト、校正、電源、データ出力を総合的に確認します。
温度センサーは方式ごとに安定性や応答性が異なり、湿度センサーでは高湿度域の精度と結露後の復帰が重要です。飽差を利用する場合は、温度と湿度を同じ条件で測定できる構成を選びます。
CO₂センサーはNDIR方式を基本とし、必要な測定範囲、複合精度、ウォームアップ時間、自動補正、校正方法を確認します。CO₂施用を行う温室では、一般室内を前提とした自動補正機能が適さない可能性にも注意が必要です。
UbiBotはクラウド共有やAPI、多点化を重視する構成、T&Dは国内データロガー体系や校正を重視する構成、みどりモニタは施設園芸向けの多項目計測をまとめて導入する構成に、それぞれ特徴があります。
製品を決める前に、必要な精度と測定項目を整理し、温湿度・CO₂センサーだけでなく、電源、記録、出力、校正、交換部品を含む総運用コストで比較してください。
参考資料
- 日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」
- 農研機構「施設園芸における高収益栽培体系を実現するための技術開発」
- 農研機構「UECS対応センサユニット製作マニュアル」
- 農林水産省「施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル」
- UbiBot DC1-L-TH公式製品情報
- UbiBot外部CO₂センサー公式製品情報
- T&D RTR507B公式製品情報
- T&D RTR-576公式製品情報
- みどりモニタ公式製品情報
- みどりクラウド本体・センサー仕様書
※製品仕様、対応機器、クラウド機能、価格、契約条件、国内在庫は変更される場合があります。公開または調達前に、各メーカーの最新仕様書をご確認ください。