湿度センサーの測定原理|相対湿度・露点温度・結露の関係

湿度センサーの表示が80%RHになったとき、「空気中の水分量が増えた」とは限りません。空気中の水蒸気量がほぼ同じでも、温度が下がれば相対湿度は上昇するためです。

この関係を理解するには、相対湿度だけでなく、露点温度と表面温度も確認する必要があります。

特に倉庫、サーバールーム、温室、食品施設、研究室では、結露が製品劣化、腐食、カビ、絶縁不良、センサー故障につながる可能性があります。

本記事では、湿度センサーの測定原理と、相対湿度・露点温度・結露の関係を解説します。

湿度センサーとガラス表面の結露を示す湿度測定イメージ

湿度監視では、相対湿度の数値だけでなく、温度、露点温度、結露の有無を合わせて確認します

要点

  • 相対湿度は、現在の水蒸気圧と同じ温度における飽和水蒸気圧の比
  • 同じ水蒸気量でも、温度が下がると相対湿度は上昇する
  • 露点温度は、空気を冷却したときに水蒸気が凝結し始める温度
  • 壁面や配管などの表面温度が露点温度以下になると、結露しやすくなる
  • 一般的な電子式湿度センサーは、静電容量または電気抵抗の変化を利用する
  • 測定範囲が100%RHまであっても、結露状態での連続使用を保証するとは限らない
  • 結露リスクの管理では、温度と湿度を同じ位置・同じ時刻で測定することが重要

1.相対湿度とは

相対湿度は、その温度で空気が保持できる最大水蒸気量に対して、実際にどの程度の水蒸気が含まれているかを表す指標です。

厳密には、次のように表されます。

相対湿度(%RH)=水蒸気圧 ÷ 同じ温度の飽和水蒸気圧 × 100

気象庁も、相対湿度を飽和水蒸気圧に対する水蒸気圧の比として説明しています。気象庁「地球温暖化予測情報 第8巻・第5章」

空気が保持できる水蒸気量は温度によって変わります。暖かい空気ほど多くの水蒸気を保持でき、冷えると保持できる量が少なくなります。

そのため、加湿や除湿をしていなくても、室温が下がるだけで相対湿度が上昇することがあります。

2.露点温度とは

露点温度とは、空気を冷却したときに、水蒸気が凝結し始める温度です。

例えば、室温が25℃で相対湿度が60%RHの場合、露点温度は概算で約17℃です。窓、壁、配管などの表面温度が約17℃以下になると、その表面で結露する可能性があります。

気温 相対湿度 概算露点温度
25℃ 40%RH 約11℃
25℃ 60%RH 約17℃
25℃ 80%RH 約21℃

※露点温度は計算式や丸め方によってわずかに異なります。

相対湿度は温度変化の影響を大きく受けますが、露点温度は空気中の水蒸気量を理解するうえで有効です。

温度低下による相対湿度上昇と露点・結露の関係

同じ水蒸気量でも、空気が冷えると相対湿度が上昇し、表面温度が露点温度以下になると結露が発生しやすくなります。

3.結露が発生する条件

結露は、空気中の水蒸気が冷たい表面で液体の水へ変化する現象です。

基本的な判断条件は次のとおりです。

表面温度 ≦ 露点温度 → 結露リスクが高まる

例えば、室内の空気温度が25℃、相対湿度が60%RH、露点温度が約17℃であれば、表面温度が15℃の冷水配管では結露が発生する可能性があります。

一方、室内の相対湿度が高くても、すべての場所で直ちに結露するわけではありません。実際の結露は、次の条件にも左右されます。

  • 壁や配管などの表面温度
  • 空気の流れ
  • 表面材質と汚れ
  • 断熱性能
  • 温度変化の速さ
  • 外気の流入
  • 扉の開閉
  • 表面付近の局所的な湿度

結露を予測したい場合は、室内温湿度だけでなく、結露が懸念される対象物の表面温度も確認します。

4.湿度センサーは何を測っているのか

静電容量式・電気抵抗式湿度センサーと光学式露点計の測定原理

電子式湿度センサーは静電容量や電気抵抗の変化を利用し、光学式露点計は冷却鏡面の曇りから露点を測定します。

一般的な電子式湿度センサーは、水蒸気を直接数えるものではありません。

感湿材料が空気中の水分を吸着または放出したときに生じる、静電容量や電気抵抗の変化を測定し、相対湿度へ変換しています。

日本電気計測器工業会は、電子式湿度計を主に静電容量式と電気抵抗式に分類し、どちらも水蒸気の吸着による電気的変化を利用すると説明しています。JEMIMA「湿度・露点計」

静電容量式

高分子膜などの感湿材料が水分を吸収すると、誘電率が変化します。この変化を電極間の静電容量として測定し、相対湿度へ変換します。

主な特徴は次のとおりです。

  • 小型化しやすい
  • 比較的広い湿度範囲へ対応しやすい
  • 低消費電力の製品が多い
  • 温湿度一体型センサーに採用しやすい
  • IoT端末やデータロガーへ組み込みやすい

一方、結露、薬剤、粉じん、油分などが感湿部へ付着すると、応答性や精度に影響する可能性があります。

電気抵抗式

感湿材料が水分を吸着したときに生じる電気抵抗の変化を利用します。

主な特徴は次のとおりです。

  • 回路を比較的簡単に構成できる
  • 小型・低価格の製品を作りやすい
  • 一般的な環境監視へ利用できる

ただし、低湿度域、高温環境、長期使用時の変化などについて、製品ごとの仕様確認が必要です。

光学式露点計

光学式露点計は、鏡面を冷却し、鏡が曇り始める温度を光学的に検出します。相対湿度を計算する一般的な電子式センサーとは異なり、露点温度を直接測定します。

JEMIMAは、光学式露点計が電子式湿度計の基準器として利用されると説明しています。JEMIMA「湿度・露点計」

高い信頼性が求められる校正や基準測定に適する一方、装置、保守、導入費用は一般的な環境監視用センサーより大きくなる傾向があります。

5.測定方式の違い

以下は方式ごとの一般的な傾向であり、製品の優劣を決めるランキングではありません。

比較項目 静電容量式 電気抵抗式 光学式露点計
主な測定量 相対湿度 相対湿度 露点温度
検出原理 静電容量の変化 電気抵抗の変化 冷却鏡面の結露検出
主な用途 環境監視、空調、IoT 一般環境、機器組み込み 基準測定、校正、研究
小型化 しやすい しやすい 装置構成による
連続多点監視 適する 適する 費用・保守を要する
主な注意点 結露、汚れ、薬剤 低湿度、高温、経年変化 鏡面の汚れ、保守、費用

日常的な倉庫や室内環境の監視では、静電容量式などの電子式センサーが使いやすく、校正や基準測定では光学式露点計が有力です。

6.「0~100%RH対応」と「結露対応」は異なる

仕様表に「湿度測定範囲0~100%RH」と記載されていても、感湿部が水滴で濡れた状態で連続使用できるとは限りません。

結露すると、次のような現象が起こる可能性があります。

  • 測定値が100%RH付近に張り付く
  • 結露解消後も高い値を示し続ける
  • 応答が遅くなる
  • 汚れが感湿膜へ付着する
  • コネクターや回路で腐食・漏電が発生する
  • センサーが故障する

購入前には、測定範囲だけでなく、次の仕様を確認します。

  • 結露状態で使用できるか
  • 高湿度域の精度
  • 結露後の復帰時間
  • 保護フィルターの有無
  • フィルター交換の可否
  • 防水・防じん性能
  • 感湿部と本体の保護性能
  • メーカーが指定する使用条件

7.湿度センサーの設置位置

湿度は、同じ部屋でも場所によって異なる場合があります。

代表的な環境を測定したいセンサーは、次の場所を避けて設置します。

  • 加湿器やミストノズルの直近
  • 空調吹出口の直下
  • 外気が直接入る扉や窓の近く
  • 冷たい外壁や冷却配管に密着する場所
  • 水滴が落下する場所
  • 直射日光が当たる場所
  • 発熱する機器の近く
  • 空気がほとんど動かない密閉空間

一方、結露リスクを監視する場合は、代表測定点とは別に、冷たい壁面、窓、配管、冷却設備付近へリスク監視点を設ける方法が有効です。

ただし、空気の温湿度センサーを濡れた表面へ直接接触させるのではなく、必要に応じて表面温度センサーと組み合わせます。

8.露点温度を利用した結露監視

温度と相対湿度を同時に測定すれば、計算によって露点温度を求められます。

結露監視では、次の3項目を確認します。

  1. 空気温度
  2. 相対湿度
  3. 結露が懸念される場所の表面温度

露点温度と表面温度の差を「露点マージン」として管理する方法もあります。

露点マージン=表面温度-露点温度

露点マージンが小さくなるほど結露リスクが高まり、0℃以下になると表面温度が露点温度を下回っていることを意味します。

ただし、露点温度が相対湿度と温度から算出された値である場合、温度・湿度センサー双方の誤差が計算結果へ影響します。重要な品質判断に使用する場合は、必要な精度、計算式、校正条件を確認してください。

9.UbiBotで温湿度を遠隔監視する場合

倉庫の温湿度センサーとクラウドによる結露リスク監視

温湿度の連続記録とアラートを利用すると、夜間の湿度上昇や冷たい壁面付近の結露リスクを把握しやすくなります。

UbiBotでは、用途に応じて本体内蔵センサーまたは外部温湿度プローブを利用し、測定値をクラウド上で確認できます。

WS1 Proによる室内温湿度監視

UbiBot WS1 Proは、温度・湿度・照度の内蔵センサー、ローカル記録、クラウド表示、アラート機能に対応しています。

日本公式ページでは、内蔵湿度センサーの測定範囲は10~90%RH、代表精度は±2%RH、内部メモリは最大300,000件と案内されています。また、本体は防水ではなく、使用条件は「結露なし」とされています。UbiBot WS1 Pro公式製品情報

倉庫、オフィス、サーバールームなど、一般的な室内環境を継続監視したい場合に適した構成です。

外部温湿度プローブを使用する場合

UbiBot TH30S-Bは、WS1 Proなどの対応機器へ接続して使用するRS485 Modbus対応の外部温湿度プローブです。

日本公式ページでは、温度-40~80℃、湿度0~100%RH、代表精度として温度±0.2℃、湿度±2%RHなどが案内されています。一方、湿度が80%を超える環境では故障リスクへの注意も記載されています。UbiBot TH30S-B公式製品情報

したがって、「測定範囲が100%RHまである」という理由だけで、長時間の高湿度・結露環境へ設置するのではなく、実際の使用条件と保護方法を確認する必要があります。

クラウド監視でできること

温湿度データを継続的にクラウドへ保存すると、次の変化を確認しやすくなります。

  • 夜間の湿度上昇
  • 空調停止後の変化
  • 扉開放による外気流入
  • 季節による湿度傾向
  • 高湿度状態の継続時間
  • 温度と湿度の同時変化
  • 機器オフラインや電池残量低下

高湿度アラートだけでなく、温度、継続時間、設備運転状態を組み合わせて確認すると、原因を判断しやすくなります。

10.購入前チェックリスト

  • 相対湿度、露点温度、結露の違いを理解した
  • 温度と湿度を同じ位置で測定できる
  • 必要な湿度範囲と精度保証範囲を確認した
  • 高湿度域での精度を確認した
  • 結露状態で使用できるか確認した
  • 結露後の復帰特性を確認した
  • 感湿部と本体の保護性能を分けて確認した
  • フィルターやセンサーを交換できるか確認した
  • クラウド記録、CSV出力、アラート機能を確認した
  • 定期的な精度確認または校正を計画した

よくある質問

相対湿度が上がると、空気中の水分量も必ず増えていますか

必ずしも増えているとは限りません。空気中の水蒸気量が同じでも、温度が下がると飽和水蒸気圧が低下するため、相対湿度は上昇します。

湿度100%RHになると必ず結露しますか

空気が飽和状態に近いことを示しますが、結露の発生場所は表面温度や気流によって異なります。表面温度が露点温度以下になると、結露しやすくなります。

露点温度は湿度センサーが直接測定していますか

一般的な電子式温湿度センサーでは、温度と相対湿度から計算する場合が多くあります。光学式露点計は、鏡面に結露が始まる温度を検出して露点温度を直接測定します。

0~100%RH対応なら結露環境でも使用できますか

測定範囲と耐結露性能は別です。結露可否、連続使用条件、復帰時間、保護フィルター、本体とコネクターの防水性能を確認してください。

センサーを壁面へ取り付けてもよいですか

壁面が室内空気と同じ温度であれば利用できる場合があります。ただし、外壁、冷たい壁、日射を受ける壁では、測定値が室内全体を代表しない可能性があります。

結露監視には何を測定すればよいですか

空気温度、相対湿度、露点温度に加え、結露が懸念される対象物の表面温度を確認します。表面温度と露点温度の差が小さいほど注意が必要です。

まとめ

相対湿度は空気中の水蒸気量だけでなく、温度によって変化します。相対湿度の数値だけを見ても、結露の有無や空気中の水分量を正確に判断できない場合があります。

結露は、壁面や配管などの表面温度が露点温度以下になったときに発生しやすくなります。そのため、結露リスクを管理するには、温度と相対湿度を同時に測定し、必要に応じて表面温度も確認することが重要です。

UbiBotの温湿度センサーとクラウド監視を利用すると、湿度の現在値だけでなく、夜間や設備停止時を含む変化の履歴を把握できます。

ただし、測定範囲が広い製品でも、長時間の高湿度や結露に対応するとは限りません。測定精度、設置場所、保護性能、復帰特性、アラート運用まで含めて選定してください。

参考資料

  1. 日本電気計測器工業会「湿度・露点計」
  2. 気象庁「地球温暖化予測情報 第8巻・第5章」
  3. 産業技術総合研究所「微量水分領域の湿度標準」
  4. チノー「ハンディ形温湿度計 HN-EH」
  5. TDK「湿度センサ CHSシリーズ」
  6. UbiBot WS1 Pro公式製品情報
  7. UbiBot TH30S-B公式製品情報

※製品仕様、対応機器、クラウド機能、価格および使用条件は変更される場合があります。公開または購入前に、メーカーの最新仕様書をご確認ください。

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