冷蔵・冷凍物流の温度管理では、倉庫内の現在温度を表示するだけでは十分ではありません。入荷、保管、仕分け、積み込み、輸送、荷卸し、納品という一連の工程で、商品が求める温度条件を維持できているかを継続的に確認する必要があります。
特に温度リスクが高いのは、設備が安定運転している時間よりも、扉の開閉、商品の積み替え、冷凍機の停止、車両のアイドリングストップ、渋滞、通信圏外、配送先での待機など、運用条件が変化する場面です。
リアルタイム監視システムは、異常を早く発見するための手段です。しかし、測定位置、アラート値、通信障害時の記録、校正、温度逸脱時の判断手順が決まっていなければ、通知が届いても適切な対応にはつながりません。
本記事では、冷蔵・冷凍倉庫から車両、配送先までを対象に、コールドチェーンの温度をリアルタイムで監視するための設計、機器選定、試運転、運用方法を解説します。
冷蔵・冷凍倉庫、冷凍冷蔵車、クラウドを連携したコールドチェーン温度監視のイメージ
要点
- 管理温度は「冷蔵」「冷凍」という名称だけで決めず、商品仕様、法令、荷主との契約条件を基準にする
- 倉庫、荷捌き場、車両、保冷容器を別々ではなく、一つの温度管理工程として設計する
- 空気温度、商品温度、設定温度を区別する
- センサーは冷気吹出口の直近を避け、商品が置かれる位置を代表する場所に設置する
- 車両では前方・中央・後方、上部・下部、扉周辺の温度差を事前に確認する
- 通信停止中にも本体で記録し、復旧後に元の測定時刻で補完できる構成を選ぶ
- アラートは温度値だけでなく、継続時間、開扉、冷凍機運転、車両位置と組み合わせる
- 温度逸脱時の連絡、商品の識別・隔離、評価、記録方法を手順化する
- 定期的な精度確認と校正を行い、結果を追跡できる状態にする
国土交通省が紹介するコールドチェーン物流サービス規格JSA-S1004では、低温車両からの荷卸しに伴う入出庫エリアの温度上昇対策や、契約で定めた温度帯での輸送、車両庫内温度の監視・記録が要求事項例として示されています。国土交通省「JSA-S1004の普及に向けた取組について」
1.最初に商品ごとの管理条件を整理する
監視システムを選ぶ前に、何を、どの温度範囲で、どの工程まで管理するかを明確にします。
整理すべき項目は次のとおりです。
- 商品名と商品分類
- 荷主またはメーカーが指定する保管温度・輸送温度
- 許容される温度範囲
- 一時的な温度変化の許容条件
- 最低温度を下回った場合の凍結リスク
- 最大温度を超えた場合の品質・衛生リスク
- 測定間隔と記録保存期間
- 温度逸脱時の判定責任者
- 納品時に提出する温度記録の形式
厚生労働省が公開する冷凍・冷蔵加工食品販売事業者向けの衛生管理手引書では、一般的な管理例として冷蔵庫10℃以下、冷凍庫−15℃以下を確認し、決められた頻度で記録する手順が示されています。一方、同資料も配送時の適正温度は商品取扱方法として各事業者が決めるよう求めています。厚生労働省掲載「冷凍・冷蔵商品販売事業者(加工食品)のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
したがって、10℃や−15℃をすべての商品に共通するアラート値として使用するのは適切ではありません。冷蔵品、冷凍食品、アイスクリーム、食肉、水産物、青果物、医薬品などでは、求められる条件が異なります。商品仕様書、表示、関連法令、顧客要求および社内基準を確認してください。
2.空気温度・商品温度・設定温度を区別する
コールドチェーンでは、同じ「温度」という言葉でも意味が異なります。
| 温度の種類 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 設定温度 | 冷凍機や制御盤に入力した目標値 | 設備運転の基準 |
| 吹出空気温度 | 冷却器から供給される空気の温度 | 冷凍機・冷却器の状態確認 |
| 庫内空気温度 | 商品周辺の空気温度 | 日常監視、異常の早期検知 |
| 商品表面温度 | 包装や商品の表面温度 | 受入れ・出荷時の迅速な確認 |
| 商品中心温度 | 商品内部の温度 | 品質・衛生影響の詳細評価 |
車両の表示器が設定温度を示していても、積荷の後方や扉付近が同じ温度とは限りません。また、扉を開けた直後には空気温度が急上昇しても、商品の中心温度はすぐには変化しない場合があります。
リアルタイム監視では庫内空気温度を継続測定し、受入れや逸脱評価では必要に応じて商品温度を確認する設計が実用的です。赤外線温度計は表面温度の確認には便利ですが、包装材の反射率や測定距離の影響を受けるため、中心温度や空気温度の代わりにはなりません。
3.コールドチェーン全体の監視点を洗い出す
温度管理を倉庫と車両に分断すると、積み込みや荷卸しの区間が記録されない「温度の空白」が生じます。
導入前に次の工程を一つのフローとして確認します。
入荷から保管、積み込み、輸送、納品まで、温度記録を途切れさせないことが重要です。
- 入荷車両の到着・待機
- 荷卸しと検品
- 冷蔵・冷凍倉庫への入庫
- 保管と庫内移動
- ピッキング・仕分け
- 積み込み前の車両予冷
- 積み込み
- 輸送と配送先での待機
- 荷卸し・引き渡し
- 空容器・返品商品の回収
農林水産省の「青果市場の低温管理」に関するJASは、荷下ろし・積み込み場所を含む施設・設備と、荷下ろしから入庫までの管理を低温管理の対象として整理しています。対象は青果市場ですが、荷捌き工程を温度管理から切り離さないという考え方は、他の低温物流を設計する際にも参考になります。農林水産省「青果市場の低温管理 JAS 0011:2024」
4.冷蔵・冷凍倉庫の測定位置を決める
温度分布調査では、倉庫の平面方向と高さ方向にロガーを配置して温度差を確認します。
大型倉庫では、設定温度が一つでも庫内温度は均一ではありません。冷却器、扉、天井高、ラック、商品の積載状態、デフロスト運転、作業人数などによって温度分布が変わります。
常設センサーの位置を決める前に、複数の仮設ロガーを使用した温度分布調査を行う方法が有効です。少なくとも次の条件を含めて比較します。
- 冷却器の運転・停止
- デフロスト運転
- 扉の開閉が多い時間帯
- 入出荷の繁忙時間
- 商品が少ない状態と満載状態
- 夏季と冬季
- 停電または冷凍機停止を想定した試験
常設測定点の候補には、次の場所があります。
- 商品保管区域の代表点
- 過去の調査で最も高温になった場所
- 低温障害や凍結が問題になる場合の低温点
- 扉・前室・荷捌き場の影響を受ける区域
- 冷却器から最も離れた区域
- 高いラックの上段と床面に近い下段
一方、冷気吹出口の直下、蒸発器表面、外壁、扉枠に密着した位置は、局所的な環境だけを測定する可能性があります。設備診断用のリスク監視点としては有効ですが、倉庫全体を代表する唯一の測定点には適しません。
5.冷凍冷蔵車のセンサー位置を決める
車両では、走行中の振動、荷物の積み方、冷気の循環、扉の開閉、外気温、日射によって温度分布が変化します。
冷凍機の吹出温度だけを監視すると、荷物で冷気の通路が塞がれた場合や、後部扉付近で温度が上昇した場合を見逃す可能性があります。
車両の温度分布試験では、次の測定位置を検討します。
冷凍冷蔵車では、前後・上下・扉付近の温度差と庫内気流を確認して測定点を決めます。
- 車両前方・中央・後方
- 上部・中央・床面付近
- 後部扉付近
- 側面扉付近
- 冷凍機吹出口から離れた位置
- 異なる温度帯を仕切る隔壁の両側
- 商品またはパレットの内部に近い位置
常設センサーは、実際に商品が占める空間を代表し、荷役作業で破損しにくい場所に固定します。パレット、台車、荷物がセンサーの周囲を完全に塞がないことも確認してください。
車両ごとに冷却能力、庫内容積、扉構成、配送ルートが異なるため、センサー位置を全車共通で機械的に決めず、代表車両で試験したうえで標準配置を定めます。
6.積み込み前の予冷と積載方法を管理する
温度監視システムを導入しても、常温の車室へ冷蔵品を積み込めば、出発直後から温度上昇アラートが発生します。
出発前には次の項目を確認します。
- 車室が規定温度まで予冷されている
- 冷凍機、表示器、温度センサーが正常に動作する
- 前便の残留物や霜を除去している
- 冷気の吹出口と戻り空気経路を塞いでいない
- パレットと壁面の間に必要な空間がある
- 異なる温度帯の商品が適切に区画されている
- センサーが荷物で覆われていない
- 出発前の温度と確認者を記録している
車室を予冷し、冷気の通路を確保した状態で迅速に積み込むことで、温度上昇を抑えます。
冷凍機は、常温の商品を短時間で凍結させるための設備ではありません。原則として、商品は所定の温度まで冷却された状態で積み込み、車両は輸送中の温度維持に使用します。
7.リアルタイム監視システムの構成
センサーのローカル記録と4G・Wi-Fi通信を組み合わせ、通信復旧後にデータを補完します。
リアルタイム温度監視は、次の要素で構成されます。
- 温度センサーまたは外部温度プローブ
- センサー本体のローカル記録
- 車内または倉庫内の無線通信
- ゲートウェイまたは4G対応端末
- クラウドまたはオンプレミスの保存先
- Web・アプリの監視画面
- Eメール、アプリ、SMSなどの通知
- CSV、PDF、APIなどのデータ出力
倉庫ではWi-Fi、有線LAN、特定小電力無線、LoRaなどを利用できます。車両では移動中も通信するため、4Gなどの携帯通信を使用する構成が一般的です。
ただし、山間部、地下駐車場、トンネル、建物内の荷捌き場では通信できないことがあります。リアルタイム監視という名称でも、通信圏外を完全に防ぐことはできません。そのため、通信障害中も測定値を端末内に保存し、復旧後に元の測定時刻で再送信できることが重要です。
8.測定間隔と送信間隔を分けて考える
測定間隔はセンサーが温度を取得する頻度、送信間隔はクラウドへデータを送る頻度です。
例えば、1分ごとに測定し、5分ごとにまとめて送信する構成も可能です。送信頻度を下げると通信量と電池消費を抑えられますが、クラウド上で異常を把握するまでの時間は長くなります。
設定時には次の要素を検討します。
- 商品が温度変化に耐えられる時間
- 扉開閉による温度変化の速さ
- 配送時間と停車回数
- センサーの応答時間
- 通信料金
- 電池寿命
- 必要な記録密度
- アラート発報までの許容時間
導入試験では短い間隔でデータを取得し、実際の温度変化を確認した後で、運用に適した間隔へ調整します。
9.アラートを現場対応につなげる
アラート値は商品の許容範囲と現場の対応時間を基準に設定します。上限温度と下限温度だけでなく、継続時間、復帰条件、通知先も決めます。
設定項目の例は次のとおりです。
- 注意アラートと重大アラート
- 上限・下限温度
- 判定までの継続時間
- ヒステリシス
- 扉開放時間
- 冷凍機停止
- センサーオフライン
- ゲートウェイオフライン
- 電池残量低下
- 一次対応者とエスカレーション先
扉を開けるたびに通知されると、担当者がアラートを無視するようになる可能性があります。一方、遅延時間を長くしすぎると、冷凍機故障や扉の閉め忘れへの対応が遅れます。
可能であれば、温度だけでなく扉の開閉、車両位置、冷凍機の運転状態を組み合わせます。「配送先で扉を開けたため一時的に上昇した」のか、「走行中に冷凍機が停止した」のかを区別しやすくなります。
10.温度逸脱時の対応手順
アラート受信後の対応を事前に決めておきます。
- センサーID、車両・倉庫、温度、発生時刻を確認する
- センサー異常か実際の温度異常かを確認する
- 扉、電源、冷凍機、設定値、積載状態を確認する
- 必要に応じて商品温度を測定する
- 影響する商品、ロット、積載位置を特定する
- 商品を適切な場所へ移動し、識別・保留する
- 荷主、品質管理責任者、配送管理者へ連絡する
- 温度と時間の履歴に基づいて出荷・受入れ可否を判断する
- 原因、対応、判断者、最終処置を記録する
温度逸脱時は、設備確認、対象商品の識別・保留、影響評価、対応記録を順に行います。
「アラートが復帰したので問題なし」とは判断できません。最高温度・最低温度、逸脱時間、商品温度、包装、積載位置、商品の安定性や取扱条件を確認します。
厚生労働省掲載の手引書でも、庫内温度に異常があった場合には商品温度を確認し、適温の商品を別の冷蔵・冷凍庫へ移し、適正温度を超えた商品は責任者の判断に従って処置する記録例が示されています。厚生労働省掲載の衛生管理手引書
11.停電・通信障害への備え
監視システムは、センサーだけでなく通知経路全体を確認します。
- センサー・ロガー
- 車載ゲートウェイ
- 倉庫内の親機
- ルーター
- 携帯通信
- クラウドまたはサーバー
- 担当者のスマートフォン
- 冷凍機と倉庫冷却設備
一部だけにバックアップ電源があっても、ルーターやゲートウェイが停止すれば通知できません。停電時に必要な監視時間を定め、UPS、車両バッテリー、内蔵電池、予備通信回線を検討します。
通信障害試験では、次の動作を確認します。
- 通信を意図的に遮断する
- センサーが測定を継続する
- 端末内にデータが保存される
- オフライン状態が通知または表示される
- 通信復旧後に履歴が補完される
- 欠測、重複、時刻ずれがないことを確認する
12.低温環境で使用する機器の選定ポイント
冷凍庫や冷凍車では、常温用センサーとは異なる確認が必要です。
- 必要な低温域を測定できるか
- 本体の動作温度とプローブの測定温度を区別しているか
- 低温時の測定精度が明記されているか
- 低温で使用できる電池か
- 結露・霜・水洗に対する保護があるか
- 外部プローブとケーブルが扉や荷物で損傷しないか
- 本体にローカル記録があるか
- 4G、Wi-Fi、無線通信の対応条件は何か
- 校正サービスまたは校正証明書を利用できるか
- CSVやAPIでデータを出力できるか
外部プローブが−40℃以下に対応していても、本体は同じ低温環境で動作できない場合があります。本体を車室外に置き、プローブだけを庫内へ入れる構成では、ケーブル引き込み部の気密、防水、断線対策も確認します。
13.UbiBotによる倉庫・車両監視の構成例
UbiBot GS1シリーズには、Wi-Fi、携帯通信、RS485、GNSSなどの構成があり、モデルに応じて倉庫と移動車両の監視に利用できます。
GS1-AL4G1RSはWi-Fiと携帯通信に対応し、内部メモリに最大300,000件の検出記録を保存できます。RS485対応モデルでは、用途に合わせて外部温度センサーなどを接続できます。本体の操作環境は−20~60℃、湿度10~90%RH(結露なし)とされているため、より低温の冷凍庫を測定する場合は、対応する外部プローブの測定範囲と、本体を設置する場所を分けて確認する必要があります。UbiBot GS1公式製品情報
同シリーズのGS1-PL4G1RSは、携帯通信とGNSSを利用した温湿度・位置情報の監視に対応する構成として案内されています。車両の位置と温度履歴を同じシステムで確認したい場合に検討できます。
UbiBot構成が適しやすい例は次のとおりです。
- 複数倉庫と複数車両をクラウドでまとめて確認したい
- Wi-Fiがない場所で4G通信を利用したい
- 車両位置と温度履歴を関連付けたい
- APIでWMS、TMS、BIツールなどと連携したい
- 通信障害中も端末側で記録を残したい
一方、選定時には使用するSIM、通信プラン、国内周波数・技術基準への適合、外部センサーとの互換性、低温環境での電源条件、クラウド保存条件を確認してください。
14.日本市場で選べる温度監視システムの比較
以下は製品の優劣を決めるランキングではありません。クラウド・GNSS型、国内ワイヤレスロガー型、PC集中監視型という異なる構成を、コールドチェーンへの適用方法から比較しています。
| 比較項目 | UbiBot GS1-PL4G1RS/GS1-AL4G1RS | T&D RTR501B+RTR500BM | チノー MD8000シリーズ |
|---|---|---|---|
| システムの位置付け | 4G・クラウド対応のIoT監視端末 | ワイヤレス温度ロガー+4G親機 | 多点無線ロガー+USB受信器+PC |
| 主な利用場所 | 倉庫、冷蔵室、車両、移動物流 | 冷蔵・冷凍庫、車両、離れた設備 | 倉庫、工場、固定設備の集中監視 |
| 温度測定 | 内蔵センサーまたは対応外部プローブ | RTR501B内蔵センサー:−40~80℃ | 内蔵、外付け、熱電対、測温抵抗体などから選択 |
| 公開されている代表精度 | 使用する内蔵・外部センサーの仕様を確認 | RTR501B:平均±0.5℃ | 選択モデル・入力方式の仕様を確認 |
| ローカル記録 | GS1本体で最大300,000件 | RTR501Bで16,000件 | 送信器で16,000件/チャンネル |
| 上位通信 | Wi-Fi、4G、モデルによりEthernet・GNSS | RTR500BMから4G通信 | USB接続PCを中心に構成 |
| 警報 | アプリ、メール、クラウド設定など | Eメール、SMS、接点出力、ソフトウェア | PC監視、Eメール、接点出力など |
| 位置情報 | GS1-PL4G1RSでGNSS対応 | 親機・車両側の別システムと組み合わせを検討 | 標準構成は固定拠点向け |
| 防護上の注意 | 本体・プローブ・コネクターを個別確認 | RTR501BはIP67、RTR500BMは防水なし | モデル・電源仕様によってIP等級が異なる |
| 特徴が生きる用途 | クラウド共有、車両位置、API、多拠点管理 | 国内ロガー体系、低温記録、4G親機を組み合わせたい場合 | PC中心の多点集中監視や多様な入力を使用する場合 |
T&D RTR501Bはセンサー内蔵型で、測定範囲−40~80℃、記録容量16,000件、IP67と案内されています。RTR500BMは4G通信に対応し、子機の記録を収集して「おんどとり Web Storage」へ自動送信できます。ただし、RTR500BM本体は防水ではなく、電池のみでの公称動作は約2日間のため、車載・屋外利用では安定した外部電源と保護方法を設計する必要があります。T&D RTR501B公式製品情報/T&D RTR500BM公式製品情報
チノーMD8000は、最大60台の送信器から測定データをPCへ集録し、警報監視する構成です。サーミスタ内蔵・外付け、温湿度、熱電対、測温抵抗体など複数のモデルが用意されており、固定倉庫で入力方式を選びながら集中監視したい場合に適しています。チノーMD8000公式製品情報
UbiBotは4G・Wi-Fi・GNSS・APIを組み合わせたクラウド管理、T&Dは国内で展開されるワイヤレスロガーと親機の体系、チノーはPCを中心とした固定拠点の多点監視にそれぞれ特徴があります。
最終的な選定では、温度範囲だけでなく、次の条件を含む総システムで比較してください。
- 倉庫と車両の台数
- 測定点数
- 位置情報の要否
- 通信圏外時の記録
- 外部電源とバックアップ電源
- アラート方法
- データ保存期間
- CSV・PDF・API
- 校正と交換体制
- SIM・クラウドの継続費用
- 国内サポートと保守
※仕様、対応通信、クラウド機能、料金、国内在庫は変更される場合があります。調達前に各メーカーの最新仕様書と利用条件を確認してください。
15.校正と日常点検
低温域で使用する温度ロガーは、基準器と比較し、定期的に精度を確認します。
測定値を品質判断に使用する場合、定期的な精度管理が必要です。
校正計画には次の項目を含めます。
- 機器IDと設置場所
- 測定範囲と使用範囲
- 必要精度と許容誤差
- 校正点
- 校正周期
- 使用する基準器
- トレーサビリティ
- 校正前後の結果
- 不合格時の影響評価
厚生労働省掲載の衛生管理手引書では、温度計の精度確認を1年に1回以上行う例が示され、氷水による点検や校正された温度計との比較が例示されています。ただし、必要な周期は機器メーカーの推奨、使用環境、要求精度、過去のドリフトに基づいて決めてください。厚生労働省掲載の衛生管理手引書
日常点検では、表示値の妥当性、固定部、ケーブル、結露、霜、電池残量、通信状態、時計のずれを確認します。正式な校正が必要な用途では、現場での比較確認だけで代替しないようにします。
16.導入後の試運転
本稼働前に、測定から対応までの全経路を確認します。
- すべてのセンサーIDと設置位置を照合する
- 基準計器と並べて表示値を比較する
- 倉庫・車両内の通信状態を確認する
- 車両を通常ルートで走行させる
- 扉開閉、停車、荷卸し時の温度変化を確認する
- テストアラートを発生させる
- 夜間・休日を含む担当者へ通知されることを確認する
- 通信を遮断し、ローカル記録と復旧後の再送を確認する
- 電源停止時の動作を確認する
- 温度記録をCSV・PDFなど必要な形式で出力する
- 温度逸脱の模擬訓練を行う
- 設定値、担当者、試験結果を承認・記録する
センサーがクラウド画面に表示されるだけでは試運転完了とはいえません。通知を受けた担当者が、対象車両や商品を特定し、定められた時間内に対応できることまで確認します。
17.導入規模別の構成例
| 導入規模 | 構成例 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 小規模倉庫 | 代表点・高温点・扉付近のロガー+クラウド接続 | 温度分布、停電、扉開閉、校正 |
| 大型冷蔵・冷凍倉庫 | 区画別センサー+複数ゲートウェイ+設備警報連携 | 高さ方向、無線死角、デフロスト、予備電源 |
| 少数の配送車両 | 車両ごとの温度センサー+4G端末 | 外部電源、位置情報、圏外時記録、扉開閉 |
| 多数の車両・多拠点 | 標準車載構成+倉庫監視+API連携 | 命名規則、権限、SIM管理、データ統合 |
| 保冷容器・小口配送 | 容器内ロガー+配送拠点での読取りまたはモバイル通信 | 保冷性能、蓄冷剤、回収、荷物単位の追跡 |
18.導入前チェックリスト
管理条件
- 商品ごとの保管・輸送温度を確認した
- 上限・下限だけでなく許容時間を確認した
- 空気温度と商品温度の役割を決めた
- 受入れ、保管、配送、納品の責任範囲を明確にした
センサーと通信
- 必要な低温域で測定できる
- 低温時の電池特性を確認した
- 本体と外部プローブの動作範囲を分けて確認した
- 倉庫満載時・車両積載時に通信試験を行った
- 圏外時にもローカル記録できる
- 復旧後に元の時刻でデータが補完される
アラートと対応
- アラート値と遅延時間に根拠がある
- 夜間・休日の通知先を設定した
- オフライン・電池低下も通知できる
- 温度逸脱時の商品識別・隔離手順がある
- 出荷・受入れ可否の判断者を決めた
保守とデータ
- 校正周期と許容誤差を決めた
- 機器ID、車両、測定点を対応付けた
- 必要な保存期間を設定した
- CSV・PDF・APIなど必要な出力ができる
- SIM、クラウド、校正、電池交換を含む運用費を確認した
よくある質問
冷蔵・冷凍物流では何℃に設定すればよいですか
商品によって異なります。厚生労働省掲載の手引書には一般例として冷蔵庫10℃以下、冷凍庫−15℃以下が示されていますが、すべての商品に共通する設定値ではありません。商品仕様、表示、関連法令、荷主との契約条件を基準にしてください。
冷凍車の温度センサーはどこに設置しますか
冷凍機の吹出口直近だけでなく、商品が置かれる空間を代表する位置に設置します。前方・中央・後方、上部・下部、扉付近の温度差を事前に測定し、最もリスクの高い位置と代表位置を決めます。
設定温度と庫内温度が違うのは異常ですか
必ずしも異常とは限りません。設定温度は冷凍機の制御目標であり、庫内空気温度や商品温度とは異なります。ただし、差が長時間続く場合は、冷凍機、積載、空気循環、扉、センサー位置を確認してください。
4G通信が切れたら温度記録は失われますか
ローカル記録に対応する機器であれば、通信圏外でも測定値を本体に保存できます。通信復旧後に元の測定時刻で再送信されるか、欠測や重複がないかを導入時に試験してください。
温度アラートに遅延時間を設定してもよいですか
短時間の扉開閉による不要通知を減らす目的で設定できます。ただし、商品の許容時間、温度変化の速さ、現場の対応時間に根拠を持たせます。遅延が長すぎると設備故障の発見が遅れます。
GPSがあれば温度管理は十分ですか
GPSは車両位置とルートの確認に有効ですが、温度測定の代わりにはなりません。温度、位置、時刻、必要に応じて開扉や冷凍機状態を関連付けることで原因を判断しやすくなります。
温度ロガーはどのくらいの頻度で校正しますか
メーカー推奨、要求精度、使用環境、過去の校正結果に基づいて決めます。強い衝撃、浸水、電池液漏れ、説明できない測定差があった場合は、定期周期を待たずに確認してください。
まとめ
冷蔵・冷凍物流のリアルタイム温度監視では、センサーを導入するだけでなく、倉庫、荷捌き場、車両、配送先を一つのコールドチェーンとして設計することが重要です。
商品ごとの管理条件を確認し、空気温度と商品温度を区別したうえで、温度分布調査に基づいて測定位置を決めます。車両では冷凍機吹出口だけでなく、前後・上下・扉付近の温度差を確認してください。
UbiBotは4G、Wi-Fi、GNSS、クラウド、APIを利用した多拠点・車両管理、T&Dは国内ワイヤレスロガーと4G親機を組み合わせた低温記録、チノーは固定倉庫のPC集中監視に、それぞれ特徴があります。製品の優劣ではなく、移動監視か固定監視か、必要な測定範囲、通信、電源、データ出力、校正体制に基づいて選定します。
最終的には、アラートが発生したときに、担当者が対象商品を特定し、品質・衛生への影響を評価し、処置を記録できる運用が必要です。まず代表倉庫または代表車両で試験導入し、実際の温度変化、通信状態、通知、対応時間を確認してから展開することを推奨します。
参考資料
- 国土交通省「JSA-S1004の普及に向けた取組について」
- 厚生労働省掲載「冷凍・冷蔵商品販売事業者(加工食品)のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
- 農林水産省「青果市場の低温管理 JAS 0011:2024」
- UbiBot GS1公式製品情報
- T&D RTR501B公式製品情報
- T&D RTR500BM公式製品情報
- チノーMD8000公式製品情報
※関連法令、商品仕様、製品機能、通信サービス、料金、クラウド保存条件は変更される場合があります。公開または調達前に、所管官庁、荷主、商品メーカーおよび各機器メーカーの最新情報をご確認ください。