温室・ビニールハウスの環境モニタリングシステム導入ガイド

要点

温室やビニールハウスの環境モニタリングでは、単にセンサーの台数を増やすのではなく、「その測定値が、どの作物・栽培区域・環境制御区画を代表するのか」を明確にすることが重要です。

ヒーター、換気窓、循環扇、細霧ノズル、冷却パッド、出入口、直射日光を受ける構造材の近くでは、実際に局所的な温湿度変化が発生します。しかし、その値がハウス全体や作物群落周辺の環境を代表しているとは限りません。

信頼性の高いシステムを構築するには、次の項目を一体として設計します。

  • 栽培区画と環境制御区画の整理
  • 作物群落に合わせた測定位置
  • 日射や散水の影響を抑えた設置方法
  • ハウス内での無線通信試験
  • 通信障害時のローカル記録
  • 栽培管理につながるアラート設定
  • 定期的な点検・精度確認
  • 将来のセンサー追加や環境制御との連携

日本施設園芸協会の資料では、施設内で使用するセンサーについて、精度だけでなく、高温、多湿、塵埃、結露などの栽培環境に耐えられること、データを保存できること、必要な応答性を備えること、保守しやすいことが選定上の重要事項として示されています。 日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」

1.機器を選ぶ前に温室全体を調査する

温室内の天窓、側窓、循環扇、暖房機、かん水設備、代表測定点を示した導入前サーベイ

温室の構造、環境設備、電源および測定候補位置を確認する導入前調査

センサーの機種や台数を決める前に、温室を一つの環境システムとして調査します。

まず、施設の構造を確認します。

  • 単棟または連棟
  • 間口、奥行き、棟高、軒高
  • 棟ごとの区画と内部カーテン
  • 遮光・保温カーテン
  • 出入口と連絡通路
  • 天窓、側窓、換気扇
  • 循環扇とダクト
  • 暖房機、温湯配管、ヒートポンプ
  • パッド&ファンなどの冷却設備
  • 細霧・ミスト設備
  • かん水配管と養液設備

次に、作物と栽培方式を整理します。

  • 育苗、増殖、定植後、生育期、開花期、収穫期
  • トマト、イチゴ、キュウリ、葉菜、花きなどの作物区分
  • 土耕、養液栽培、高設栽培
  • ベンチ栽培、立体栽培、多段栽培
  • 品種ごとの管理目標
  • 区画ごとの暖房・換気・かん水制御

同じハウス内でも、育苗区画と成熟株の区画、暖房系統が異なる区域、カーテンで仕切られた区域は、別のモニタリング区画として扱う必要があります。

電源と通信環境も同時に確認します。

  • AC電源の位置
  • PoE給電の利用可否
  • 有線LANの接続位置
  • Wi-Fiの受信状態
  • 携帯通信の電波状況
  • ゲートウェイ候補位置
  • 安全なケーブル経路
  • 屋外設置時の防水・雷サージ対策

遠隔地では携帯通信対応のゲートウェイが有効ですが、SIM、通信プラン、使用する周波数帯および日本国内での適合状況を事前に確認してください。

2.作物群落を基準にセンサー位置を決める

代表測定点となる温湿度センサーは、原則として作物群落付近の空気環境を測定できる位置に設置します。

人が見やすい壁面や固定された高所ではなく、作物の生長点や葉群付近を基準にすることが重要です。作物が成長すると群落高も変化するため、高さを調整できる支柱、吊り下げ金具、ワイヤーまたはレールを利用すると管理しやすくなります。

センサーを固定したままにすると、設置当初は群落付近にあっても、生育後には葉群の内部や下側に取り残されることがあります。葉が密集した区域では、上部より湿度が高く、気流が弱くなることもあるため、定期的に設置高さを見直します。

温室の温湿度センサーを作物群落付近に正しく設置する方法と避けたい位置

温湿度センサーは作物群落付近に設置し、日射や設備からの直接的な影響を避けます

代表測定点として避けたい位置は次のとおりです。

  • 直射日光が当たる場所
  • 暖房機や温湯配管の直近
  • 循環扇の風が直接当たる場所
  • 天窓や側窓の直下
  • 冷却パッドの直近
  • 細霧・ミストノズルの直下
  • かん水が直接かかる場所
  • 出入口のすぐ近く
  • 外壁や金属製構造材に密着する場所
  • 結露水が滴下する場所

温度センサーには日射よけを設け、センサー自体が日射で加熱されないようにします。日本施設園芸協会の資料でも、温度測定では日射よけと適切な通風が重要であると説明されています。また、湿度センサーは検出面の汚れによって高めの値を示す場合があるため、防汚と保守が必要です。 日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」

密閉性の高いカバーでセンサーを囲むと、内部に熱や湿気がこもり、応答が遅くなる可能性があります。保護カバーは、水滴や日射を遮りながら、周囲の空気が自然に通過できる構造を選びます。

3.代表測定点とリスク監視点を分ける

温室内のすべての測定点が同じ役割を持つわけではありません。

代表測定点

代表測定点は、作物が実際に受ける環境を把握し、栽培判断や環境制御の評価に使用する測定点です。

一般的には、次の条件を満たす位置を選びます。

  • 作物群落付近
  • 区画の中で平均的な環境
  • 直射日光や局所的な気流の影響を受けにくい
  • かん水や薬剤が直接かからない
  • 点検や高さ調整が可能

リスク監視点

リスク監視点は、局所的な異常や設備の影響を確認するための測定点です。

例えば、次の場所が該当します。

  • 出入口付近
  • 冷却パッドの近く
  • 暖房機の末端側
  • 換気扇や天窓の近く
  • 日射の影響を受けやすい妻面
  • 結露が発生しやすい区域
  • 過去に高温・低温が確認された場所

リスク監視点の値は重要ですが、その値だけでハウス全体を評価してはいけません。代表測定点と組み合わせることで、「ハウス全体の変化」と「設備付近の局所変化」を区別できます。

温室の西側、中央、東側と垂直栽培の各段に設置する環境測定点の例

棟内の環境差と栽培高さを考慮した代表測定点・診断用測定点の配置例

4.床面積だけでなく環境制御区画で台数を決める

温室に必要なセンサー台数を、床面積だけで一律に決めることはできません。

同じ床面積でも、次の条件によって必要な測定点数が変わります。

  • 単棟または連棟
  • ハウスの長さ
  • 暖房・換気系統の数
  • カーテンや扉による区画
  • 作物の種類と生育段階
  • 群落高
  • 冷却設備や細霧設備の配置
  • 日射条件
  • 過去に確認された温度差
  • 多段・立体栽培の有無

新規導入時には、最終的な常設台数より多い仮設センサーを一定期間配置し、温湿度分布を確認する方法が有効です。

昼夜、晴天・曇天、暖房運転、換気窓の開閉、カーテン開閉、かん水、細霧運転などの条件を含めて比較し、繰り返し現れる温度差や湿度差に基づいて常設位置を決めます。

温室規模 区画設定の考え方 測定点の初期構成例 ゲートウェイ配置
小規模な単棟ハウス 主栽培区画+出入口または設備付近 群落付近の代表点1か所を基本とし、必要に応じてリスク監視点を追加 ハウス付近の屋内または保護された位置
中規模な連棟ハウス 棟、暖房・換気系統、カーテン区画ごとに整理 各主要区画の群落付近と、既知の高温・低温区域 遮蔽物の影響が少ない中央付近
大規模・複数棟 各棟と制御区画を個別グループとして管理 標準化した配置を各棟に展開し、設備付近に診断用測定点を追加 必要に応じて複数台を配置し、担当範囲を記録
多段・立体栽培 高さ方向も別の環境区画として扱う 上段・中段・下段など、作物が存在する高さごとに測定 構造材や水タンクによる電波遮蔽を考慮

5.温度と湿度以外の測定項目を検討する

温度と相対湿度は、温室環境モニタリングの基本項目です。しかし、栽培目的によっては次の項目も重要になります。

  • CO₂濃度
  • 日射量
  • 光合成有効放射(PAR)
  • 飽差
  • 土壌・培地水分
  • 地温
  • 培地または養液のEC
  • 養液pH
  • 葉面温度
  • 漏水
  • 窓、ファン、ポンプなどの運転状態

農研機構が公開するUECS対応センサユニットの資料でも、温湿度、CO₂濃度、日射量、防水温度センサー、ファン回転数などを組み合わせた施設園芸向けの計測構成が示されています。 農研機構「UECS対応センサユニット製作マニュアル」

飽差を活用する場合

相対湿度は温度によって変化するため、温度と湿度の値から飽差を確認すると、作物周辺の水分環境を理解しやすくなります。

ただし、飽差の適正範囲は作物、品種、生育段階、時間帯、日射量、気流などによって異なります。インターネット上の一般値をそのままアラート値や制御値として使用せず、栽培指針や農場の管理基準に基づいて設定してください。

CO₂を測定する場合

CO₂センサーは、作物群落とCO₂施用方式を考慮して設置します。施用口の直近では局所的に高い値が表示されることがあるため、代表測定点として適切かを確認します。

長いサンプリングチューブを使用する方式では、途中の結露水や詰まりにも注意が必要です。定期的な校正や精度確認についても、メーカーの指示に従ってください。

日射量を測定する場合

日射センサーは、梁、誘引設備、フィルムの汚れ、カーテンなどによる影の影響を考慮します。センサーを水平に設置し、受光面の汚れを定期的に除去します。

施設内の作物が受ける光環境を確認する目的と、屋外日射を基準に環境制御する目的では、適切な設置位置が異なります。

6.センサー・電源・通信を一つのシステムとして選ぶ

温室モニタリングは、単体のセンサーではなく、次の要素を含むシステムとして選定します。

  • 測定項目
  • 測定範囲と精度
  • 応答性
  • センサー側の記録容量
  • 本体と感知部の保護性能
  • 電池または外部電源
  • 無線周波数と通信距離
  • ゲートウェイの上位通信
  • クラウドまたはオンプレミス環境
  • アラートとユーザー権限
  • APIおよび外部システム連携
  • 将来の拡張性
  • 校正と保守体制
複数の温室センサーをLoRaゲートウェイとクラウドに接続する環境監視システム

複数温室の温湿度データをLoRaで集約し、クラウドから遠隔確認する構成例

UbiBotのLoRa構成

UbiBot DC1-L-THは、温度と相対湿度を測定するLoRa対応センサーです。日本公式製品ページでは、代表精度として温度±0.2℃、湿度±2%RHが示されています。

最大50,000件の測定データを本体に保存でき、LoRa通信が一時的に失敗した場合も測定を継続し、通信復旧後に保存データを再送信できます。 UbiBot DC1-L-TH公式製品情報

複数のDC1-L-THをUbiBot GW1ゲートウェイに接続し、Wi-Fi、有線LAN、またはモデルにより携帯通信を介してクラウドへ送信できます。GW1には最大300,000件の検出記録を保存できる内部メモリが搭載されています。 UbiBot LoRaゲートウェイGW1公式製品情報

この構成は、次のような導入に適しています。

  • 複数のハウスを一元監視したい
  • センサーごとの通信配線を減らしたい
  • PCを常時設置せず、スマートフォンやWebから確認したい
  • 通信障害中も現場側で記録を継続したい
  • APIを利用して他システムと連携したい
  • 将来、測定点を増やしたい

ただし、製品ページに記載された理想的な通信距離を、そのまま実際の温室内の通信距離として使用することはできません。日本国内で使用する周波数帯、技術基準適合、センサーとゲートウェイの対応関係を確認したうえで、現地通信試験を実施してください。

7.温室内でLoRa通信を安定させる

温室には、無線通信に影響する要素が多数あります。

  • 金属製の骨組み
  • アルミカーテンや遮熱資材
  • 水分を多く含む作物群落
  • 貯水タンク
  • 暖房機や制御盤
  • 断熱壁
  • 扉やシャッター
  • 作業車両
  • 雨や結露

通信試験は、作物が少ない定植直後だけでなく、葉が繁茂した状態も想定して行います。扉やカーテンを通常の運用位置にし、換気設備や各種機器が稼働する条件でも確認してください。

ゲートウェイは、可能な範囲で次の条件を満たす位置に設置します。

  • センサー群の中央付近
  • 作物群落より高い位置
  • 大型の金属設備から離れた位置
  • 安定した電源を確保できる位置
  • Wi-Fi、有線LANまたは携帯通信が安定する位置
  • 点検しやすい位置
  • 水滴や結露から保護できる位置

LoRa通信とインターネット接続は別々に試験します。センサーからゲートウェイへ正常に送信できても、ゲートウェイからクラウドへ接続できなければ遠隔監視はできません。

設置後は、一時的に上位回線を遮断し、次の動作を確認します。

  1. センサーが測定を継続する
  2. センサーまたはゲートウェイにデータが保存される
  3. 通信復旧後に保存データが送信される
  4. 元の測定時刻で履歴が表示される
  5. 欠損や重複が発生していない

8.クラウド、アラート、データ管理を設定する

クラウド上の機器名を製造番号だけにすると、アラート発生時に場所を判断しにくくなります。

施設、棟、栽培区画、作物、高さ、測定項目を組み合わせた命名規則を使用します。

例:

農場A-ハウス02-トマト東側-群落高-温湿度

または短縮して、

A-GH02-TOM-E-CANOPY

と設定できます。

プラットフォーム上では、次の項目を事前に決めます。

  • 測定間隔
  • クラウドへの送信間隔
  • 高温・低温アラート
  • 高湿度・低湿度アラート
  • CO₂や土壌水分の管理値
  • アラート継続時間
  • ヒステリシス
  • 機器オフライン通知
  • 電池残量低下通知
  • 一次対応者
  • 夜間・休日のエスカレーション先
  • ユーザーごとの閲覧・変更権限

短い間隔で測定すると、換気窓の開閉、暖房、かん水、細霧などによる急激な変化を把握しやすくなります。一方、データ量と電池消費は増加します。

導入試験中は短めの測定間隔を使用し、ハウスの変化を把握した後で、栽培管理と保守条件に適した間隔へ調整する方法が有効です。

アラート値は、すべてのハウスに同じ値を設定するのではなく、作物、品種、生育段階、昼夜、季節および管理目標に合わせます。

通知を送るだけでなく、「誰が、何を確認し、どの設備を操作し、誰に報告するか」まで標準作業手順として決めてください。

温室の環境異常に対する通知・現場対応と通信障害時のローカル記録の流れ

環境異常の検知から現場対応までの流れと、通信障害時の記録継続イメージ

9.日本市場で選べる環境モニタリング製品の比較

以下は製品の優劣を決めるランキングではありません。

UbiBotのLoRa・クラウド型構成、日本メーカーのワイヤレスデータロガー構成、施設園芸専用の環境モニタリング構成という異なる方式を、温室への導入目的から比較しています。

比較項目 UbiBot DC1-L-TH+GW1 T&D RTR507B+RTR500BW みどりモニタ/みどりボックスPRO
システムの位置付け LoRa温湿度センサー+クラウド接続ゲートウェイ 特定小電力無線データロガー+ネットワーク親機 施設園芸向け圃場環境モニタリングシステム
基本測定項目 温度、相対湿度 温度、相対湿度 温度、湿度、飽差
温度測定範囲 -20~60℃ -25~70℃ -20~60℃
公開されている代表温度精度 ±0.2℃ ±0.3℃ ±1.0℃
湿度測定範囲 0~100%RH 0~99%RH 0~99.9%RH
公開されている代表湿度精度 ±2%RH ±2.5%RH ±2.0%RH
センサー側の記録 最大50,000件 8,000件×2チャンネル 契約中のクラウド保存条件を確認
上位側の通信 Wi-Fi、有線LAN、モデルにより携帯通信 RTR500BW使用時は無線LAN・有線LAN 4G版またはWi-Fi版
遠隔確認 UbiBotクラウド、アプリ、Web、API おんどとり Web Storageなど みどりモニタアプリ、PC、スマートフォン
拡張できる測定項目 UbiBot対応LoRaセンサーおよび外部センサーにより構成 RTR500Bシリーズの対応ロガーを追加 日射量、CO₂、土壌水分、地温、EC、風向風速、カメラなど
接続規模の考え方 多数のLoRa測定点をゲートウェイで集約 親機と中継機を含むRTR500B構成として設計 みどりボックスPROは有線・無線合わせて最大36センサー
保護に関する注意 本体、感知部、ゲートウェイごとに仕様を確認 RTR507B本体はIP64、温湿度センサー部は防水対象外 センサーごとに防水性が異なり、CO₂センサーなどは水濡れに注意
特徴が生きる導入例 複数棟、多点監視、クラウド共有、API連携、ローカル記録を重視する場合 国内データロガー体系とWeb Storageを組み合わせたい場合 温室専用の多項目計測や環境制御連携まで一体で検討する場合

T&D RTR507Bは、温度・湿度を記録する高精度ワイヤレスデータロガーです。温度測定範囲-25~70℃、代表精度±0.3℃、湿度代表精度±2.5%RH、8,000件×2チャンネルの記録容量が公開されています。データ収集にはRTR500Bシリーズの親機が必要です。 T&D RTR507B公式製品情報

みどりモニタは、日本の施設園芸を対象とした環境モニタリングシステムです。温湿度、飽差、日射量、CO₂、土壌水分、地温、EC、カメラなどを組み合わせることができ、みどりボックスPROでは最大36台のセンサー接続が案内されています。 みどりモニタ公式製品情報 / みどりクラウド本体・センサー仕様書

UbiBotは、センサーごとの長距離・低消費電力LoRa通信、センサーとゲートウェイのローカル記録、複数の上位通信方式、クラウド・オンプレミス・APIの選択肢が特長です。複数棟の温室をまとめて監視し、温湿度監視から段階的に測定点を拡張したい運用と親和性があります。

一方、T&Dは国内で展開されるデータロガー体系を利用したい場合、みどりモニタは温室向けの多項目計測や環境制御連携まで一体として検討したい場合に、それぞれ有力な選択肢になります。

最終的には、測定精度だけでなく、次の条件を含めて比較してください。

  • ハウス内の測定項目
  • センサーの設置保護
  • 通信範囲
  • 電源
  • ローカル記録
  • クラウド利用料金
  • データ出力とAPI
  • 環境制御との連携
  • 校正サービス
  • 導入支援と保守体制

※仕様、ソフトウェア機能、契約プラン、接続台数、国内在庫は変更される可能性があります。公開または調達前に各メーカーへ確認してください。

10.導入後の試運転と保守

設置完了後は、センサーがクラウドに表示されることだけでなく、測定から現場対応までの全経路を確認します。

試運転手順

  1. 設置したセンサーを信頼できる基準計器と並べて比較する
  2. センサーIDと実際の設置位置が一致していることを確認する
  3. 日射、暖房、換気、かん水による変化を確認する
  4. ハウス内のすべての測定点で無線通信を確認する
  5. 高温・低温などのテストアラートを発生させる
  6. 指定した担当者へ通知されることを確認する
  7. 通信を一時的に遮断してローカル記録を確認する
  8. 復旧後に保存データが正しい測定時刻で送信されることを確認する
  9. 停電時の動作と代替確認手順を確認する
  10. 測定点、設置高さ、警報値、担当者、電源、通信経路を記録する

定期点検

定期点検では、次の項目を確認します。

  • センサー位置と群落高のずれ
  • 日射遮蔽部材の状態
  • 感知部の汚れ
  • 結露や水の侵入
  • 薬剤付着
  • ケーブルやコネクターの損傷
  • 電池残量
  • 固定部の緩み
  • ゲートウェイの通信状態
  • アラート受信者
  • 校正または精度確認の期限

作物が生長した場合、栽培品目を変更した場合、カーテンや暖房機を更新した場合、ハウスを増設した場合は、定期点検を待たずに測定位置と通信状態を再評価します。

校正周期は、要求精度、メーカー推奨、使用環境、過去のドリフトおよび農場の品質管理方針に基づいて決めます。現場での比較測定は異常の早期発見に有効ですが、正式な計量トレーサビリティが必要な場合の校正に代わるものではありません。

よくある質問

温室の温湿度センサーはどこに設置すればよいですか

作物群落付近で、その栽培区画を代表する空気環境を測定できる位置に設置します。直射日光、暖房機、換気窓、循環扇、冷却パッド、細霧ノズル、出入口の直近は代表測定点として避けます。

温室には何台のセンサーが必要ですか

床面積だけでは決められません。棟数、ハウスの長さ、暖房・換気区画、カーテン、作物、群落高、冷却設備、過去の環境差に基づいて決定します。最初に仮設センサーで環境分布を確認すると、常設位置を決めやすくなります。

温度だけでなく湿度も測定した方がよいですか

湿度は、蒸散、結露、病害リスク、飽差、細霧や換気の効果を判断するうえで重要です。温度と湿度を同じ位置で測定すると、環境変化をより総合的に把握できます。

CO₂センサーはどこに設置すればよいですか

作物群落を代表する位置に設置し、CO₂施用口や外気流入口の直近を避けます。栽培方式や施用方法によって濃度分布が異なるため、必要に応じて複数点で比較してください。

LoRaとWi-Fiのどちらが温室に適していますか

既存Wi-Fiが安定し、測定点が少ない小規模施設ではWi-Fiが簡便です。複数棟や長いハウスに多数の低消費電力センサーを配置する場合は、LoRaが適しています。ただし、LoRaでもゲートウェイと上位回線が必要です。

LoRaゲートウェイはどこに設置すればよいですか

作物や設備による遮蔽が少なく、測定点を見通しやすい中央かつ高い位置が基本です。安定した電源とWi-Fi、有線LANまたは携帯通信を確保し、すべての測定点から通信試験を行ってください。

センサーの測定間隔はどの程度が適切ですか

暖房、換気、細霧などによる環境変化の速さと、データを利用する目的によって決めます。導入試験では短い間隔で変化を確認し、その後、電池消費やデータ量を考慮して調整します。

インターネットが切れた場合、測定データはどうなりますか

ローカル記録に対応した機器であれば、通信障害中も測定データを保存できます。復旧後に元の測定時刻でクラウドへ補完されるかを、導入時に実際に試験してください。

まとめ

温室・ビニールハウスの環境モニタリングで重要なのは、センサーを設置しやすい場所に置くことではなく、その測定値が作物と環境制御区画を正しく代表できるようにすることです。

導入前に施設構造、作物群落、暖房、換気、日射、かん水、電源、通信環境を調査し、代表測定点とリスク監視点を分けて設計します。

UbiBot DC1-L-THとGW1を組み合わせたLoRa監視システムは、複数の温室へ測定点を分散配置し、配線を抑えながらクラウドで一元監視したい場合に適した選択肢です。センサーとゲートウェイのローカル記録を活用することで、一時的な通信障害にも備えられます。

ただし、システムを導入しただけでは栽培改善にはつながりません。測定値を換気、暖房、遮光、CO₂施用、かん水などの具体的な管理行動に結び付け、アラート対応と保守方法をあらかじめ決めることが重要です。

まずは代表的な1棟または1区画で試験導入し、季節や作物の生育に伴う環境分布と通信状態を確認してから、複数棟へ展開することを推奨します。

参考資料

  1. 農林水産省「施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル」
  2. 農研機構「UECS対応センサユニット製作マニュアル」
  3. 日本施設園芸協会「環境計測用センサと植物工場での利用」
  4. UbiBot DC1-L-TH公式製品情報
  5. UbiBot LoRaゲートウェイGW1公式製品情報
  6. T&D RTR507B公式製品情報
  7. T&D RTR500BW公式製品情報
  8. みどりモニタ公式製品情報
  9. みどりクラウド本体・センサー仕様書
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